Episode 123 対決! エージェントの二人。


 ――繰り広げられる接近戦! かなりの苦戦。相手の身体能力は尋常ではなかった。



 ライフルが使えなくなった状況でも、まだ一方的な攻撃。反撃の機を待つも、殴られ蹴られる。そして……分身した? 同じ容姿をした少女が二人に。突如二対一となって、


「狙いは何? 君たちは何者?」


 と、その様な質問を、思わず投げ掛けた私。丁度そのタイミングだ、奏でるバイオリンの調べ。そして……音は止まり切れる弦。割れるネックから現れた厚さ二ミリの鉄板。


 陸君りっくんが居合抜きの様に振り翳すも、躱し躱されるアクロバットな動きによって。二対二になっても、私と陸君の苦戦は続いていたの。速過ぎる動き、目で捉えられない程に。


 殴られ蹴られ……

 倒れる、二人揃って……


 それでも這ってでも……と、捕まえる足首。声も出して「行かせない。マリー姫は守るの。君たちのような得体の知れない輩に、指先一本さえも触れさせない」と執念の域。


 すると、二人のうち一人が、


「何がそうさせるの? ドミノを壊滅までさせて。あなたたちも同罪だよ。僕らの居場所を奪った。僕らが人として生きられる場所だったのに、あの女は松近まつちかさんを支配した」


 と、言ったのだ。……何か、色々と間違えているような気がするの……


「支配なんかされてないよ、松近さんは。同意の上だったって言ってたの」


「……あなたは? あなたたちは?」


「多分、君たちと同じドミノだったメンバー。私はそら卜部うらべ空。そして彼は、私のパートナーの陸君、椎名しいなりく君。名乗ったよ。お次は君たちの番。さあ、名乗ってもいいよね」


 自己紹介に転ずる……


「僕は、菜花なのか。この子は、千歳ちとせ。……どうやら、あなたたちは敵ではなさそうだ。それなら紹介してほしい、あなたたちからマリー姫という人に。会って確かめたい、真実を」


「じゃあ、同意ということだね」と、そこには笑みが、季節外れの向日葵の様に……



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