Episode 122 機動戦士はサンタさんだから。


 ――集まれり舞踏会。或いはパーティー会場。それは御城の中にあるという。



 本物のサンタさんの住む御城。可愛くて小さなお姫様という噂……


 この目で確かめる。そしてミッションも兼ねる。……実は、狙われているという情報を得ていたの。狙われているというのは、まさしく命。一撃必殺の暗殺術が、その可愛くて小さなお姫様を狙っているのだ。そう言ったのは、松近まつちかさんだったの。



 だとしたら、ドミノの最後のミッションとなる。


 依頼主は……お姫様の側近の方。その名は豊臣とよとみ織田おだ徳川とくがわの三人組。今まさに、お姫様は標的となっている。暗殺術とは何か? 思い浮かぶのは、やはりライフル。


 狙撃……しかしながら、この御城の中。それは難しいと思われるの。舞踏会は窓のない場所なので。そうであるならば、接触しなければ不可能ということになる。そこでサンタさんに扮し、護衛に徹しようと……もう作戦は始まっていた。


 お姫様の周囲に配置された、量産型のサンタさん。その全員が我ら六名、ドミノのメンバーとなる。戸中となかさんがトナカイに扮し、他の五名はサンタさんに扮する。プレゼントを渡すサンタさんは松近さんで、私と陸君りっくん、お姉ちゃんと佐助さすけ君は、警備のサンタさん。


 レッドカーペットの上を歩く者は、いずれも縁する方々だ。


 何とか、何とかパーティーが始まる前に、解決したい内容。


 すると何? 有り得ない光景を見てしまったの。構えるライフル。何と舞台裏……かなりの至近距離だ。そんな所から狙えば確実に死に至る。鮮血を流しながら。


 私は忍び寄る、構えるライフルまで。構えている者は……幼気な瞳をしていた。吸い込まれそうな青い瞳。私と同じくらいの身長で、髪の色は栗色。ボブだった。


 そう考えている間にも、相手は寄ってくる。接近戦ではライフルは邪魔。研ぎ澄まされた小さな祈りの私。すると見せたの。私に襲い掛かる銃弾。避けるも躱す。


 そう思うと、自身は五十回ものの、空から最高の準備に、新たに出発だ。



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