第二十三章 ナゾナゾなこと。
Episode 111 尋ね人、求めて来たけど。
――もういなかった。この学園には。何故それを知り得ることができたのか?
そこに、
「対応してくれて、ありがとう。あとは私に任せて、君はもう帰って……」
との言葉の後に、響くバイオリンの音色。独特な音域。世界に一つしか存在しない。それが弾けるのも、学園では一人だけだ。バイオリン・ヒーローこと、陸君。
「
とも付け加えた。しかしながら、少しばかり待つ時間はある。マリー姫が、誰を訪ねに来たのか? 多分、日々野生徒会長はあくまでその代行。尋ね人はもう、この学園を卒業していた。……でも、もう一つの足音。駆け上がる音が響いたのだ。
そして、姿を見せた。
「お待たせ、
と、金髪の長い髪を靡かせて、穏やかなる青い目。日々野生徒会長とお知り合いのようだ。更に「あら、マリーちゃんじゃない。御無沙汰してます」と丁重に御挨拶をした。
尋ね人が現れたことによって、
「シャルロットちゃん、もう卒業してたんだね、この学園」と、マリー姫は超ご機嫌。
そこから始まる語らい……
確か、ここは写真部のスペースだと思われる。それが証拠に、飾られている北陸旅情の写真たち。順番を追えば、物語は初めから終わりまで。……いや、終わりはないのだ。
だからこそ、ヌッと近づく気配もなく私の背後に
「空、帰るぞ。……直ちに帰れって、
耳打ちしたような仕草。
「うん、わかった」と答える私。あくまで淡々と……「今、松近君って言った?」と、呼び止められた。誰に? マリー姫に。だとすれば地獄耳の域に入る。「聞き間違いじゃないですか?」と私は言うも「嘘ついちゃダメダメだよ」と、マリー姫はニヤリとした。
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