第二十一章 ピカピカなこと。

Episode 101 勇敢な選択は紡ぐ明日へ。


 ――親子が一緒に暮らすこと。私は実現したけど、今度は陸君りっくんの番になる。



 普通に、そう思っていた。そう思っていたの……


 でも考えてみると、それは陸君が、ここから椎名しいなオジサンのいる北陸へ、帰ることを意味していると思えた。そこには春日はるかさんだっている。元々は、陸君は北陸で暮らしていたのだから。……お母さんを捜しにここへ来た。もうその目的は果たしたのだから……


 ふと目覚めた真夜中。


 窓から見えるビッグシティ……ではなく普通の住宅街。少し向こうに行けば、すぐカントリーロード。ウメチカさんのお家から、そんなに距離はなかった程度だから。


 世界に比べたら、日本は小さな島国。


 でも、どうだろう? コツコツと歩む廊下。そんなに長くないのに、遠く感じる距離は何故? 暗いが故の見えない距離だから? そう思っていると着いた。所詮はそれ程の距離に過ぎないのに、しっかりと枕を抱えて、そっと……ドアを開けた。施錠はないの。


そら、何だ何だ? 枕まで持ってきて」

 と、豆球程度の明るさの中で響く声。ギクッと効果音が出そうな程、驚いた私……


「お、起きてたの?」


 陸君はお布団の中だけど、そのキラリとする眼光は私を捉えていた。


 そう。ここは陸君のお部屋。パパが用意してくれた、彼のお部屋だ。


「まさか『眠れないから一緒に寝よ』ってことじゃないよな? 小さい頃とは違って」


「アハ……アハハ……」


 実は、完全なる図星。言い訳さえも思いつかずに、束の間の温もり。脳裏に微かに浮かぶ、夜這いという単語。それなら少しは大人っぽく。そう思っていたら……


「夜這いなら枕は変だぞ? まっ、入れ。小さい頃は一緒にお風呂に入った仲だし、親戚のような関係だから、間違いは……」と、陸君の言葉を塞いだ。私は入った。お布団。


「もう子供じゃない。しっかりと女の子だから」と、同じお布団の中で身を寄せたの。



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