Episode 087 電光石火の一撃を呼び掛ける者。
――狙撃犯の脚に絡まる金色の糸は、私たち皆の想いが込められていた。
そして初めて目の当たりにした、お姉ちゃんの仕込みの技。それだけではなく、ドミノの五人が一致団結したこと自体が初めてのこと。
それ以前に思想の違いによる対立傾向も否めないの。だからこそ今回もミッションはレアとも言うべき珍しいこと。狙撃犯を追い詰めた、柊さんと陸君の追跡劇。
お姉ちゃんの金色の糸で、その追跡劇にも終止符へのリーチ。なら、決めるのは私ということ。唸る警棒……を使わずに、やはり拳。電光石火の一撃。
終止符。狙撃犯を確保した瞬間が、記憶に残される。
周りには野次馬の群れがあったの。……と、いうことは多数の目撃者のど真ん中。白昼堂々のミッションクリアーとなった。極秘裏に……という部分は守られず。
仕掛けの場面を見られたという、大いなる不始末。
私の脳内は騒めく。今まさに倒れている狙撃犯の上に馬乗りになって、見事なまでに正拳突きを決めていた。狙撃犯の脚には金色の糸。その糸に先には、お姉ちゃんの手。
視線たちは集結……
ドミノという組織が表沙汰に……という冷たい恐怖。回る回る脳の中、気が遠くなる程に。するとするとそんな時だ。ワーッと歓声が上がった? 何があったの?
「ありがとうございます! 皆様の御蔭を持ちまして、無事に寸劇の収録を終えることができました。タイトルは『大追跡! メイド姉妹の燃える事件簿』に決定しました」
と、高らかにこだまする、糸子ちゃんの声。
……で、いつの間に? その場に
「フムフム、いい絵が取れたな」と、ハンディカメラ。本当に撮影していたの? その問いに堂々と答えた。そして松近さんは胸を張って「敵を欺くには、まず味方からだ。さあ君たち、ミッションは第二幕へ続くぞ。確保した犯人の取り調べ。芋づる式にだな」
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