Episode 067 サプライズにはサプライズで!


 ――到着するなり、いの一番にお部屋。ウメチカさんのお部屋に突撃だ。



 まさに憧れの人のお部屋。その前にちゃんと挨拶を済ませた。ウメチカさんのパパとママに。お姉ちゃん共々。梨花りかさんが挨拶に厳しい人だから、重々と御指導を受けて。


 その上で気持ち良く拝見する。


 とっても可愛らしいお部屋だ。エブリアニメのキャラのぬいぐるみ。ベッドもとても明るい色で飾られ、バフッと転がる感触も。「ちょっとちょっとそら、いきなり人のベッドに寝て」と制するお姉ちゃんの声も届かない程、ウメチカさんの匂いに誘われて堪能。


「いいからいいからかい、じゃあ空ちゃん、とっておきを見せてあげる」

 と、ウメチカさんが言うから、ガバッと起き、


「えっ、何々?」と、私のその反応に、お姉ちゃんは「ホント子供」とクスクスと笑う中で見る見ると組み上がるレールの数々。そしたら、な、何と再現される鉄道の模様。


 そして走るのは……


「変わった形の新幹線だね?」と声にする程、考えられないようなデザインだから。


「ゼロ系だよ。知ってるかな? 東洋の魔女。その頃にね、東京でオリンピックがあってね、それに間に合わせるように開通したんだ。一番最初の新幹線なの」と、ウメチカさんは説明してくれた。千佳ちかだけにお顔がとっても近くて、私はドキドキした。お顔だって熱くて「素敵だね、ゼロ系」と言ったら、ウメチカさんは「でしょ」と喜んでくれた。


 その瞳はキラキラ。――併せて「空にキラキラ!」と言ってくれた。


 私は徐にリュックの中をゴソゴソ。空だけに空色のリュック。一眼レフのカメラと共にある……北陸本線でのスタンプラリーで活躍した写真の数々を今、お見せしたのだ。


 ウメチカさんにも、お姉ちゃんにも、梨花さんにも。


「どれも駅の写真……」と三人が三人とも口を揃えて。


「エッヘン! 私は駅専門。もうすぐ撮り鉄もやるよ」と、高らかに宣言。その時に次なる目標だ。ウメチカにある駅たちを制覇するの、この一眼レフのカメラに収めてね。



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