Episode 040 箱から飛び出した☓☓たち!


 ――時は、もう皆がスヤスヤ眠る頃。……って、ちょっぴり早いか。



 でも、空にキラキラお星様だから、玩具が箱を飛び出すように、ある種の☓☓チョメチョメが飛び出したのだ。それは春日はるかさん曰く『スーパーファミコン』という機械。灰色の四角い形。


 そこから繋がっているコントローラーが二つ。


 手に取るのも二人。まずはモリオから始まる。画面上での競争……って、じっと私は見るの、春日さんの顔を。すると「あ、これね、やったことあるんだね、そらちゃん……」

 と、タジタジな感じ。


 私は、私はね……「陸君りっくんとあるよ、何度も何度もトライして。でも、画像は違うね。これじゃなかったんでしょ、春日さんが私としたいゲームって。本命だよ、本命を早速」


 ここは、椎名しいなのオジサンのお家。私も共同生活者で、期間限定なの。


 入れ替わるように、春日さんがここに住む。ある意味では私の後釜。だけど、本当の姿と思う、それが。父と娘の関係だから。椎名のオジサンは本当の意味でパパになるの。


 ……私、少し役に立てたかな?


 椎名のオジサンへの恩返し。丁度この月のように、見上げる夜空、私は鶴のように羽搏くの。そして輝夜姫のように、パパとママの元へ帰るの。でも、道連れもあるよ……


 陸君が私と一緒に来る。大阪でも、またパートナーだ。


 すると春日さんの声で、思想から現実の風景へ戻った。


「これだね、これ」


「そ、きっとそれ」


「じゃあ、早速ハメハメして……」


「その前にヌクヌク。そっと優しく……あ、そうそう」


「明かりは?」「もちろん消す。ン、ンンっ? そこ」


 慣れない操作。その末にパッと切り替わる画面。『ヒーロー・ストリートファイター・ツーダッシュ!』というタイトルも堂々と。私たちの、誤解を招くような音声と共に。



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