Episode 027 取り調べのような、百合百合な展開。


 ――触れる指先。お湯から出ると、今度は身体に至るまで洗われる。



 ほぼ同い年の女の子同士で、女の子同士の裸体……


 隅から隅まで見られるだけではなく触られるの。自分の身体なのに、何か変な感じ。触れ方も細部まで……取り調べを受けているような? 私は一体何をしたの? と、瞳で問うも『目は口程に物を言う』ということに託して……すると、春日はるかさんは顔を見せて、


「君、空手か何かやってる? 切れ切れな動きをしそうだし」

 と、問うてきた。


 臭うというのか、只者ではないような感覚。

 この人もまた、何か持っていそうなの……


 勇気を出して問い返す。できるのなら倍返しに至るまでに。


「は、春日さんも何かやってますね? 私が空手やってるということ、既に見抜いてたようですし、もっともっと分かるのでしょう? それとも、もう解ってるのでしょう?」


 ……クスッと聞こえる笑い声。春日さんは笑みを浮かべた。


「やっぱり只者ではないわね、君。成程ね、りくが夢中になるのも解る解る。男の子だから女の子だからは関係なく、私も君に惚れたわ。ホントもう最高だよ、そらちゃんは」


 と、更にエスカレートして胸を張ってガハハと笑った。手も腰にして。もはや女将というイメージも麗しき女性というイメージも覆す程の、素の春日さんを見たような感じ。


 それに……

 もしかしたら、絡んでくるタイプなのかも。元々が。


 そんな思考が脳内で散歩する中、春日さんは「頼むね、陸のこと」と、一言残した。


 春日さんは、どうも陸君と何らかの関係があるらしい。彼女は『陸』と……昔からの知り合いというよりも、もっと親密な関係……のようにしか思えなかった。


 そして何だろう?


 胸の奥から感じる騒めきというのか、堪らなく変な感じのする何か。これって一体?



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