SING

僕には生きる価値なんてない

今までに死んでいるべきだったんだ

生きる意味も使命も野望も愛も

何もかも僕は持ってない

欲しくもない

いらない


ただ一つだけ

ただ一つだけ

歌っていたいんだ


一年後死ぬとして

残された時間の中に

全てをかけて僕は

歌を歌うんだ

まだ歌いたい言葉がある

まだ届けたい声がある

好きなことをして

その時まで



今も誰かが産まれて

愛されていたとしても

愛されなかった人もいた

そんな人を置き去りにしていた

その社会の中で

愛なんて無くなった


どうしても身体は逆らえない

無理をしようとしても

気持ちだけが取り残されるから

越えられないところで

諦めるしなくて

残された時間も限られてる


明日死ぬとして

僕は歌い続ける

歌うことだけが好きだから

もう何もできないんだ

この命に価値なんてない

とっくに死んでいるべき命だった


なんとなくで生きるなんて

耐えきれなかった

生きる意味が欲しかった

愛を知りたかった


でももういらない

そんなものいらない

ただ歌が

それだけがあればいいから



言葉があるだけで

音があるだけで

僕は気持ちを伝えていける

好きなように

彩られる

ただ純粋に

正直に


一年後死ぬとして

歌うことだけが

すぐに僕を動かしたんだ

何もかもを捨てでも

どんなになっても

僕は歌うのが好きだ

歌うことしかできない


僕は生きる価値なんてない

値段なんてつけられない

強がりも、嘘も

つけるほどに強くない


一年後死ぬとして

残された時間の中で

僕がどうしてもしたくなったのは

歌うことだけだった

もう何を犠牲にしても

誰に恨まれようとも

僕は歌を歌うんだ

残された時間の中で


誰かのためなんかじゃない

見栄を張りたいわけでもない


ただ歌いたい

それだけなんだ

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