瑠璃色の瞳

紫織零桜☆

第1話

 ーーーー死神しにがみ



 魂の選定せんてい者であり、地獄と天国とのさかいで死者の生前の善悪を見定みさだめる者。彼らは契約にしばられ、それに逆らう事は許されない。

 これは、そんな彼らが望む、はかなく強い、願いの物語ーーーー。








 ーーーーふぅ、と風はぐ。


 太陽が昇りきり、街を眩しく照らすその上空に、突如とつじょとして一つの影が降り立つ。

 雲一つない空にはいくらか不自然なほどの黒いローブを身にまとい、顔をフードでおおい隠したその影は、建ち並ぶ街を静かに見下ろしていた。

 しばらくして、その影がゆっくりと口を開く。


「ーーーーここに、いる」


 にたり、と口端を持ち上げ、隣の空間をふわりとでる。すると、今まで何もなかった空間にどす黒い塊が出現した。そらはみるみるうちに小さな生物の形をかたどり、そのままふつりと消える。


 次の瞬間には、影も、その場から跡形あとかたもなく消えていたーーーー。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る