第42話 私だけの紅先輩
ー #蒼転寺リエの部屋 #紅視点 ー
リエが倒れた後面倒を見ていたのは自称蒼転寺ランだ。
彼女はリエの為に自室学習に付き合うらしい。
3年用の入試問題をクリアして編入、
登校初日で 「リエちゃんの看護の為今日から早退します」 と
堂々と言い放った自己紹介は全員を唖然とさせた。
本来は俺がやるべきことだがランは
「紅ちゃんは学園生活を楽しんでね♪」と言って俺を安心させようとした。
毎日夕食は差し入れしているがそのたびにコスプレ衣装が変わっていた、
流石にバニー服で病人の世話をするのは彼女だけであってほしいがな。
☆☆☆
突如ドアを叩く音が聞こえた。
「紅先輩はいますか?」
ジエンド?いつもはノックなんてせずに鍵をピッキングするのだがな。
「あー、今開ける」
我ながら情けない声が出た。
完全に心が腐っている、
後輩が来たというのに塩対応など騎士道精神に反するからな。
鍵を開けてドアをゆっくりと動かす。
手には銀のアタッシュケース?
「今時間いいですか?これを渡すように言われて」
ちらっとケースを空けて中を見せてくれたが
「・・・・・・場所を変えたほうがいいな、
今のリエに装狂演譜を見せたらまた脳の血管が壊れるまで
ロボの紹介をやりかねんからな」
今のうちにツッコミパワーをためておく。
というかツッコミパワーってなんだよ!!!!!!
☆☆☆
ー # 紅の部屋 # 紅視点 ー
ひとまず俺の部屋にジエンドを連れ込んだが
これって犯罪じゃないか?
年下を部屋に連れ込んだらよからぬ噂が立ちそうだが
ケースの中身が中身だ。
食堂で話せる内容ではない。
「じゃあ確かに渡しましたのでサイン下さい」
ケースの中身を見せてサインを迫るジエンド。
もう我慢の限界だ。
「どう考えても俺そっくりなフィギアなのだがぁ!!!!!!
これ作ったのキキョウだろ!!!!!!
腕のホクロの位置同じだし!!!!!」
装狂演譜は15cmだが紅人形は13cmで少し小柄だ。
「さあ?
私は先輩が寝ている時にピッキングして体中を3Dスキャナーで
隠し撮りをしてデータを渡しただけ。
スポンサーが誰とか興味ないし」
「いちおう言っておくがピッキングは犯罪だぞ?」
「先輩ツッコミが弱くなってませんか?」
「・・・・・・俺の体を隠し撮りってところか!!!!!!!」
「スパッツやスポブラは脱がしてませんし、
パジャマはちゃんと彼女シャツを堪能して返しました」
「もうお嫁にいけないのだが!!!!!!」
せめてドッキリと言ってくれ。
☆☆☆
「怒られそうだし隠し撮りのデータは削除するから」
もうすでに激おこだ!!!!!!
それでも該当データは削除してくれたので不問とするべきか。
「あーオプションパーツはどうしますか?
顔の表情とか着替えも必要なら渡しますが」
「貰ってはおくがイケメン顔はないのか?
俺こんな怒った顔じゃないし」
「・・・・いえ先輩はだいたいこんな ” ムスっ ” って感じじゃん」
「俺のイメージってこんなのだったのか」
ちょっとショックだ。
☆☆☆
「で、肝心なのが対裁縫部顧問用の切り札。
” S ensitive (センシティブ、敏感で)
E motional (エモーショナル、感情的)
K nighthood (ナイトフッド、騎士の使命)
U nbiased (アンバイアス、公平)
H erald (ヘルラド、先駆者)
A nthem (アンセム、賛美歌)
R everie (レヴェリー、幻想)
A mbivert (アンヴィヴァート、両向性)
通称 ” セクハラシステム ” 」
「ダメに決まってるだろ!!!!!!
意味はカッコいいがシステム名がダメだ!!!!!!!」
いきなり「セクハラシステム起動!」とか声に出すの恥ずかしいだろ!!
「あー、それは私にとっても困るかな。
私も貰ったんです、完成度50%の機体を。
それで先輩と戦いたいし」
「ジエンドと?
だが未完成品と戦って勝っても俺は嬉しくないというか・・・・」
「機械部部長 ( キキョウ先輩 ) 曰く
” 追加パーツを付けただけの怪物 ” 、
機械部副部長 ( リエ先輩 ) の規格落ち品だけど
あのオタク先輩の基準だから高性能には変わりがないし、
裁縫部のメイド先輩 ( 自称蒼転寺ラン先輩 ) の
対加熱複合布を纏った、
今の私達が出せる最高の機体。
フランヴェルジェ・・・・・
裁縫部のメイド先輩?蒼転寺ランか。
そして偽り?確かに本物はフランベルジュ、表記ゆれの範囲だが?
☆☆☆
俺はセクハラシステム、もといアンヴィヴァートシステムの準備に入る。
意味はスマホで調べるとして、背中よりちょい下あたりの穴に
有線プラグを差し込み意識データを13cmの紅人形に移植する。
ちょうど俺が休んだ時と同じことをしているがあの時は
エラーが出てキキョウが慌てていたな。
伯爵は遺伝子改良が得意だが
キキョウは肉体と魂の分離についての研究に精を出している。
例えば授業が終わった後に部活というのは内心疲れるし、
昼食の後に退屈な授業があると眠くなるのが人間だ。
そんな時に魂を ” 別の肉体 ” に移植すれば
元気な体で行動ができるとか。
伯爵が言うには「あんなものは社畜量産システムですよ!!!」と
一蹴していたが最近予算が降りたらしい。
人間とスペア2機があれば理論上 ” 24時間
☆☆☆
無事紅人形に意識データを転送できたみたいだ。
うおぉ?ジエンドが大きく見える!!!!!
そして彼女は俺を掴み ” 虫かご ” に閉じ込めた。
「我慢して下さい先輩。私、百合リスに渡米することにしたから。
うーん、分かりやすく言えば転校かな?」
百合リスに渡米は置いておいて転校だと!!!!!!!
「このまま裁縫部と機械部の争いに巻き込まれるのは嫌だし、
タイムリミットはいつか分からないけど
紅先輩は戦う姿勢を見せないじゃん。
だから人間サイズの先輩を ” 人身売買 ” して高跳びする。
フラれて以降ずっと考えてた・・・・・・
どうすれば先輩が私を見てくれるかって。
そして結論を出した。
偽善者の先輩に本気を出させるため私が悪になるしかないって」
「それが、転校だとでもいうのか」
そんなのあまりにも「そんなのあまりにも無責任ではないかって
言いたいんですよね?先輩」
「!!!
心の中を読まれた?だと」
「なんか財閥が崩壊する危機みたいだけど、
私達ただの学生じゃん?」
「な、なら装狂演譜で決着付ければよいだろう?」あせあせ
どんな時でも腕組みは忘れない。それが俺流のポーカーフェイス。
「・・・・・私学生って言ったよね?
ホビーアニメの住人じゃないから ” パス ”で」 きっぱり
「ぱ、パスって」 げんなり
このままでは
何か対抗策を考えなくては!!!!!!
☆☆☆
ー # 後書き ー
本編とは別ルートの新作短編を今日か明日に書きます。
タイトルは
「ガチ恋距離は13cm」
紅先輩がジエンド後輩を何とかできなかった、
バットエンド世界を描いた暴力描写、犯罪描写ありのR18な内容ですので
別の小説として投稿いたします。
ー 嘘あらすじ ー
核兵器と人間を創る禁忌である人体錬成を武器に戦うトキソウ派。
無人ドローンや人型兵器で対抗する蒼転寺派。
2つの派閥抗争は限界を究め核戦争へと発展した。
そんなことはどうでもいいけど私と紅先輩が
世紀末世界を旅する・・・・・ジャンルは何だろ?
あー、年の差百合恋愛逃避行でいいのかな?
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