トキソウ・リーヴェの正体編 シリアス展開あり
第19話 殺人ドッチボール
ー #某月某日 #保健室 #地の文 紅 ー
俺とハボタンは保健室に呼び出された。
眼前にはスス伯爵、とある議題での会議中だ。
「という訳で、 ” 殺人ドッチボール ” こと、
固いバスケットボールでの当て合いは禁止で」
オイオイオイ、俺死んだわ。
治癒魔法があるからとノリノリで参加してたのがバレたら
何をされるか分からないぞ!!!!
スス伯爵は続けて俺を見ながら話す。
「体育館でやるならガス抜きで見逃すんですよ。
ただ昼休憩だからといって室内でやったクラスがあるそうですねぇ、
紅先輩?」
「馬鹿な!!治癒魔法と修理魔法で証拠は完全に・・・・あっ」
” あーあバレちゃったじゃん ” みたいな空気止めてくれるか!!!ハボタン!
「まったく、同じロボットでもハボタンさんはチョコケーキ狂いなだけで
落ち着きがあるというのに」
「私はどちらかと言えば戦闘向きのメイド、
例えば手袋を脱げば人肌ではなく機械フレームが見えるっす」
ここで会話に入ってきたのは掃除部副部長のハボタンだ。
手袋だけでなくメイド服の下も肌色の装甲だとか。
「じゃあ紅とハボタンさんが戦ったら?」
「私の勝ちっすね。
試しに殺人ドッチボールで決着付けます?」
「いやいやいや!腕相撲ですら勝てないのだぞ!!!!
というか首飛ぶわ!!!!!!!!!!」
遊びじゃなくて ” 殺し合い ” の目になってるぞハボタン!!!!
「これで分かったでしょうに。
情報漏洩防止のため風紀委員は作れないんです、
だからあなた方が頼り。
学園内に自由にアクセスができるのはアオイ生徒会長と副会長の私
掃除部、散歩部の部長と副部長級
そして ” 紅 ”。
散歩部には私から報告しますので」
伯爵の意見にハボタンが突っかかってきた。
「基準が分からないっすね。
機械部にもリエ様とキキョウ様という役職者がいるはず。
新設された散歩部も百合リスの貴族である黒雪様がいます、
まだスパイの可能性も残っているはずっす」
「この人選は伯爵財閥のデータを外部に漏らさないと考えての事。
リエさんもキキョウ先輩もアクセス権を放棄したんです。
紅に自由にやらせた方がいいとね。
黒雪さんについては午後の授業中にペットボトルの紅茶を飲むという
奇行以外に怪しい所がないと報告を受けていますので」
授業中に飲むのかよ!!!!!
「なら俺が機械部から独立すればリエとキキョウにアクセス権が
渡るんじゃないか?」
「・・・・では部活動の活動資金を割り当てるので
予定賃金請求書と経費の申請、その他書類を
” 全てデジタル書面 ” でお願いします」
なんだその面倒な申請は!!!!
「ちょっと待て、キキョウはそんな事俺に愚痴ったことはないぞ!!
というか書類なぞ俺は書いたことがないし!!!!!」
「キキョウ先輩かリエさんが計算したんでしょうね。
材料費と紅の作業時間を考えて数字を出した。
はっきり言って紅は ” 現場向き ” の人材なんです。
旧来の社会では結果を出した社員を出世させてました。
いくら現場が得意でも人員の管理が得意とは限りませんので。
ピーターの法則よろしく社長にでもならない限り
出世は自身の能力に落ち着く。
つまりどう頑張っても与えられた役職以上の能力を持たない
” 無能 ” が生まれてしまうんです」
「つまり俺が無能だと?」
「現場では有能なので
昇進ではなく昇給、お金で評価を示すのが伯爵財閥です。
この学園、いえ島全体が国家機密の塊、
そんな中で外部から用務員でも雇おうものならスパイが紛れ込みます。
ので私ができる最大の信頼がアクセス権限の解放です」
・・・・なんか難しい話ばかりだな。
「掃除部についてはレン姉様は掃除以外に興味を示さないご様子、
そして私もチョコケーキ
「ええ。自由に動かせる人がいないからこそ
貴方達のような人材が貴重となります。
私は1人っ子でしたので分かりませんが、
優秀な姉を持った気分です」
「あー、私製造年月的に言えば妹っす」
「「「「ゑ」」」」
おかしい。ハボタンを除いて2人のはずだが4人の声が聞こえた。
「ついでに紅様もリエ様の中二人格ということで妹と定義されるっす。
13から14歳の中二時期に生まれたのなら
4~5歳という幼女、紅様好きは総じてロリコンっすね」
ハボタンのセリフに動揺したのか天井から人が落ち、
光学迷彩を保てなくなったリーヴェが現れた。
「なあ、ここのセキリティどうかしてるぞ」ドン引き
「天井から落ちたのは私の
リーヴェ先生の前に物理や電子セキュリティは無意味なんですよ」遠い目
この学園生徒もだが、大人組もルール無用が過ぎる!!!
・・・・いやこの学園のセキリティはリエが書いた
解読できるのは俺と、リエ。そして死んだはずの ” 蒼転寺 ラン ” のみ。
体力面で突破する伯爵の母親はともかく、トキソウ・リーヴェ。
こいつは何者なのだ?
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