第3話 夏の日
夏の日
エミリー・ブロンテ作
額田河合訳
ひとり 私はすわっていた 夏の日が
微笑む光のなかで息絶えようとする時
見つめていた 夏の日が
霧の丘から風のない小道から色褪せ消えていくのを
その時 私の胸の中に思いはあふれ
その激しさに私の心臓はたわみ
眼からは涙があふれるのだった
なぜなら 私には言葉にできなかった、その想い
いま 神々しく、澄みきった
ひそやかに私にたちこめるおごそかな喜びを
心に問うた「ああ、なぜ神は私に
与えてくださらなかったのか? あの何ものにもかえがたい贈り物
多くの人には与えられている
想いを詩に語るという輝かしい才能を」
「たくさんの夢がいつも私をとりまいていた」と私はつぶやいた
「うれいなき少女の光あふるる日々から
めくるめく空想に彩られた夢
人生の朝がようやく明けそめたばかりのころから」
なのに 今 歌いたいと望んでみると
私の指は音のない弦をはじくばかり
そして、またももう一度 同じ歌ばかりが繰り返す
「もう努力をやめよ 何もかもむなしい」と
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