【古怪記】

文屋治

其乃壱

 2004年11月6日、千葉県鋸南町の山奥に在る、とある武家の家系の屋敷にて、私は一巻の古びた巻き物を発見した。此の巻き物にはどうやら何かの伝承が書き記されている様であった。しかし、文を解読する上で重要な箇所の文字は水で滲み、破れてしまったかの様な跡が残っていた。まるで、此の伝承を誰かに読まれる事を何者かが拒んでいるかの様に…此れらの特徴から、此の巻き物は「蟲喰噺」と呼称される様になった。

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