きみという君(ひと)

夜咲

プロローグ 


いつ、春の風が吹くのだろうか。

中学三年の僕、黒田悠は冬が嫌いになった。なぜかって?

高校受験対策の真っ最中だからだ。

僕は中学受験もしてないし、こういう人生の分岐点とも言える機会は初めてだ。

僕は頭も大して良くないし、悪くもない。自分に取り柄があるのは少し運動神経が人より良いだけ、ほかは何もない。

長時間の勉強を終え眠りにつく前、ふと思うことがある。

自分はなぜ今日を生きたのか。なぜ明日を生きるのか。何の為に生きているのか。人生の先輩たちは、これらの答えをもっているのか。

何もない僕は答えを知らない。けれど予感がある。

受験を終えたら、高校生になったら、なにか分かるのではないかと。その期待を胸に、我武者羅に勉強をした。

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