オープンキャンパスの帰り

ミンイチ

第1話

「今日のオープンキャンパス、どうだった?」


 お母さんが、車を運転しながら聞いてくる。


 昨日今日で僕たちは地元から5時間ほどのところにオープンキャンパスを見に行っていた。


 オープンキャンパス自体は今日行われるが、受験の息抜きも兼ねて前日の朝に家を出て、その日は大学のある県を観光した。


「結構良さそう。

 総合型旧AO入試うけようかな」


 そんな、旅や学校の感想を話していた。


 そして海峡の上の橋を渡っていた。


「ちょっと橋見たいね」


 そう言ってお母さんは内側に車を寄せた。


 周りはもう暗くなっていて、橋もところどころに照明がついている。


 真ん中に寄ったことで主塔の構造が見やすくなった。


 左右対称になっていて、大きさも相まってとてもかっこいよかった。


「お母さん!あれ!」


 後ろの席に座っていた妹が奥の方を指差した。


 飛行機でもあるのかなと思ってみると、その先では花火が打ち上げられていた。


 ちょうど始まった頃らしく、大きめの花火と小さめの花火を混ぜながら打ち上げられている。


「綺麗だね〜。

 さっきのサービスエリアでコーヒー飲まなかったら見れなかったかもね」


 10分ほど前まで僕たちはサービスエリアで休憩をしていた。


 そこで景色を堪能したりしていたのだが、もしそれがなかったらこの花火を見ることはできなかっただろう。


「運がいいね」


 そう言った後、道路は左に曲がっていき壁で花火が見えなくなった。




 そしてそれから10分後。


「あれ!また花火!」


 今度は右側で花火が打ち上げられていた。


 今回は中くらいほどの大きさの花火が打ち上げられていて、始まりと終わりの真ん中ぐらいなのだろう。


「二回も見れるなんて本当にすごいね!」


「偶然が何個も重なっていたならそれはもう必然なのよ」


 お母さんは運転しながら僕たちの言葉に耳を傾け、そう呟いた。












「またあった!」


 そのまた10分後、僕たちはもう一度花火を見た。


 最後に打ち上げるようなとても大きい花が一輪咲き、そのあとは暗闇のみが残った。


〇〇県大学がある県の神様においでって言われてるのかもね」


 お母さんはそう茶化すように言った。


 もしも歓迎されてるなら、しっかり勉強しなきゃな。


 そう思いながら車は家に進んでいった。

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