3話 魔王拾った

見たこともないようなな高くそびえ立つ建造物。道路を行き交う鉄の馬車。


行き交う人達は皆可笑しな格好をしている。我の知っている文明から高く進化を遂げていて戸惑う。「ここはどこじゃ……」ここがどこかも分からずに途方に暮れ鉄の馬車に轢かれないように恐る恐る歩いていいると、前方から歩いてくる怪しい格好の二人組の男達に話し掛けられた。「君、こんな時間に一人で危ないじゃないか。早く家に帰りなさい。」


「え、えっと……」怪しい男達に怯み一歩引くき逃げようとする。


「もしかして迷子かもしれないな、念のため保護しておくか。」と怪しい男達は話合い我に手を差し伸ばそうとする。「君、ちょっと一緒に署まで来てくれないかな?」

と我を連れて行こうとする。

「我をどうする気じゃ!」と手を振り払い、一目散に逃げる。


「ちょっと、君!待ちなさい!」と後ろから追ってくるも必死でそれを振り切り走り続ける。

怖い!身の危険を感じたぞ!きっとあいつらは身寄りのない子供をさらって売り飛ばす奴隷商人だ!捕まったらおしまいで酷い扱いを受けるに決まってる!



無人の公園に辿り着き、肌寒い夜を公園で夜を明かすか。ゴミ箱を漁り食べ残しを探してゴミを漁るが、そこには食べ物など何もなく泥水の味と雑草の味を知って辛酸を舐めさせられた。


(本当に舐めるはになろうとはな。クソっなんで魔王の我がこんな惨めな思いをしないといけないのだ!)


ベンチに座り、休憩し、途方に暮れ、はあ、魔王城に帰りたい……と途方に暮れるるのだった。


***

今日も、いつものように放課後のバイトを終わらせると外はすっかり暗くなっていた。


二十一時に差し掛かろうという時間で急いで帰らないとマシロちゃんが待っている。四月だけど、まだ夜は肌寒い、寒空の下を歩いていると四月の夜の気温はまだ低く、体が冷えて、温かい飲み物が恋しくなる。ちょうど、公園に差し掛かったところで自販機で温かい飲み物を買いに寄り道する。自販機でおしるこを買っていると、自販機の隣のベンチに女の子が座っているのに気がついた。学生かな?中学生くらいか?

こんな遅い時間に一人で?!彼女の黒を基調としたファンタジックな独特の服装に異世界の魔王を想起させた。金髪のセミロングの髪に灼眼がよく映える。コスプレか?


「君、こんな遅い時間にどうした?大丈夫。家に帰らないのか?」


「城に帰れないのじゃ、ここはどこだ?」



「迷子…か……こんなところに居たら体が冷える。おしるこ飲むか?」


「おしるこ?なんじゃそれは?」


「え?おしるこ知らないのか?あんこが液体状になってる甘い飲み物だ。缶だからお餅は入ってないがな」


「甘いのか?!だが、見知らぬお主の施しは受けん。我は魔王だからな!」


「、魔王ごっこか」

懐かしいな。俺も、昔ダークナイトごっこ……いや、なんでもない!


「ごっこだと…我こそは、魔界を統べる魔界ナンバー1の魔王だぞ!」


「なんだ?もしかしてコイツ……」


マシロと同じ厨二病だったか!それもかなりこじらせてるぞ!



「くぅ〜」と彼女お腹の音が聞こえた。


「もしかして腹空いてるのか?」


「ふん!腹なんぞ空いとらんわ!これは草を食べたから腹を痛めたのじゃ。」


「いや、腹空いてるじゃないか!」




うちに食べに来るか?」


「魔王の我が平民の施しなど……」


「じゃあ、自分で飢えをどうにかするんだな。俺は知らん」

でもこんな夜中にこんな小さな子を置いていくのは危険だ。どうしたものか……

「待て、お主がどうしてもと言うならついて行ってやってもよいぞ!」


「なんだ、最初からそう言えばいいのに」

素直じゃないガキだな、ほんと。そうして自称魔王の少女を連れて帰宅すると……


「おかえりなさい藤原さん。あら、その子は?」

「ああ、帰り道に夜の公園で一人で居たから危ないから連れてきた。夜に一人で危ないしな」

「あ、そうだったんですか」

(藤原さんが危ない輩、なわけないですよね……優しい方ですもの)


「腹空いているみたいだから何か食わせてやってくれないか?」



「もしかして、藤原さんて小さな女の子が好きな人なんですか?」


「血、違う!夜の公園が危ないと思ったから連れてきただけだ。他意はない!」


「そうですよね。冗談です」間に受けないでくださいとクスッと笑うマシロに肩を竦める。



「今夜の夕食は、何だ?」



「今夜は冷えますからおでんにしましたあれから少し料理の勉強をしたんですよ」



「それはいい!寒い日はおでんに限るな。ナイスチョイスだマシロ」



「おでん?」


コスプレ少女はピンときてないみたいだ。



「おでん知らないのか?」


「うむ、知らぬ」


「大根やじゃがいもやこんにゃくや竹輪玉子を一緒に鍋の中で熱々に煮た冬を代表する料理だ」

マシロといいこの少女といい日本の常識文化を知らなすぎではないだろうか?


「おお、それは美味そうな……」


「美味いぞ。さあ、早く中へ入って食べるか」


は玄関から廊下へと足を踏み入れリビングへと進む。

「おお、部屋の中がなんだかぬくいのーポカポカなのじゃー魔道具で暖を炊いているか?」


「ああ、暖房のことか?うちはオール電化だからな」


「おお、オールデンカという魔具を使用しているのか?」

「いや、電化製品なんんだけどな」

家電知らないとか本当に現代人か?まさか、ホームレスか??


「いいから早く食べよう、おでんが冷める!」


「うむ」


「いただきます。あなたもいただきますは?」


「ふん!子供扱いするでない!いただくのじゃ。」


「うん、えらいえらい!」

照れ臭かっただけでこの子はきっといい子なんだな。


「ふふっ、藤原さんお父さんみたいです」


「それじゃあ、マシロはお母さんだな」

そう言ってから俺は気付いたこれってまるで……

「えっ、それってつまり……」

(夫婦みたい)

「どうしたのじゃお主ら、顔を真っ赤にして、早くおでんを食べるのじゃ」

「あっ、そうだな。そろそろ食べるかマシロ」


「はっはい!いただきましょう……」マシロは耳まで真っ赤にしておでんを食べるのだった。


「ところで名前が分からないと不便ですね、わたし、マシロと言いますよろしくね」


「俺は、藤原零二」

「あちっ」とハフハフ言いながら食べ、「ルナじゃ!」と食べながら自己紹介するルナという少女。


「慌てて食べなくてもいいんですよ、ルナちゃん」


「ぬうぬ、美味じゃぞマシロ!」


「それはよかったです」と顔を綻ばせるマシロ。本当に嬉しそうだ。



「ご馳走様なのじゃ!」


「は、お粗末さまでした」


「なんとか落ち着いたみたいで良かったね。もう一人で帰れるか?」

そろそろ家に送っていかなければ両親が心配するだろう。


「いや、ところでここってどこなんじゃ?魔界ではないのか?」


「まさか、ルナも馬飼から来たのか?」


魔界の魔王城からな!」


「そうなんだ……」

自宅のことを言ってるのか?


「魔王城に居たのに眩い光に包まれて、気付いたら見知らぬ所にいたのじゃ……」


どうしようこのこの厨二病設定がガチなんだけど!完全にキャラに成り切ってるよ。


「そうなんだーー大変だったでしょー」マシロは合わせてくれているが、どうしたものか



「ふ藤原さん、ルナちゃんの家だけどどうする?」


「仕方ない、交番に連れて行ってお巡りに任せることになるかな」


「え?それはあんまりじゃないですか?」


「じゃあ、どうするんだ?」


家出少女を保護してもらうには駐在所に行くしかないと思う。



「もし良かったらしばらく、この子をうちで泊めてあげませんか?」


「知らない女の子を泊めるとか、何かあったらどうするんだ!?」


「わたしを泊めている時点で今更かと思いますけど」


「うー、そう言われるとな……」


「なら、いいですね…決まり!ルナちゃん、藤原さんがしばらく泊めてくれるって、良かったね」



「わ、わかった…うちでいいならここにいろ!」


俺は、ルナに優しく手を差し伸ばす。困って助けを求めている子を見放すことなんて本当はしたくない。だが世間はどう思うか。その時は、その時だ!


この時は家出少女を二人匿ったくらいにしか思ってなかった。二人の正体も知らずに。











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