季節は巡る

※第22回のお題は「歩く」。10/5(土) 21~23時




「なぜ花は散るのでしょう」

 そう彼は言った。

 彼と出会ったのは絵画教室で、その日はスケッチをするために公園を散策していた。

 私は、風に吹かれて散っていく桜を眺めながら歩いていた。

 彼にそう声をかけられて、私が、さぁと首をかしげると、彼は笑顔で話し始めた。

 それをきっかけに、彼と教室で会うたびに会話をしていると、私と彼はつきあうようになった。


「ママ!」

 手を繋いでいた子どもが、私の手を引いた。

「なんで花は散っちゃうの?」

 公園に咲いていた桜の木を指さしながら言った。

 私は、思わず笑みがこぼれた。

 この子は、どうやらパパ似のようだ。


(258文字)

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