星の降る日

第21回のお題は「まさか」。9/7(土) 21~23時


 彗星がこの地を横切った日、魔女が死んだ。

――これを聞いて、あなたは何を思い浮かべましたか?

――彼女がなぜ死んだのかを知りたければ、あなたの物語を私に聞かせてください。

 そう書かれた広告が、あちこちに貼られた。

 この広告を張りだした魔法使いは、世界に多大な功績を残した偉大な魔法使いだった。

 広告には、ある日が指定されていた。

 偉大な魔法使いにあやかりたいと思う人々が、こぞって彼の自宅へ押し寄せた。

 そして彼らが見たものは、ベッドに横たわる魔法使いであった。

 魔法使いは、戸口に立つ者たちを見て、にやりと笑った。

「まさか」

 誰かがそうつぶやくと、皆空を仰いだ。

 その日、その地に多くの流星が降り注いだという。


(296文字)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る