両想う

「何の匂い?」

「香水つけてるの」

「そうなんだ」


 意識してほしくてつけてみた。


 誰のためにつけてるのと聞きたかった。


「俺好きだよ、それ」


 その代わりに、気持ちを言ってみた。

 別のことだと、何気なくを装ってなら言える。


 何その不意打ちずるい。

 でも、そうやって素直なところを好きになったんだ。


「またおいしそうとか言うんじゃないの?」


 私は好きも言えないひねくれ者。

 こんな子、好きになるはずないよね。


 君がそんなに嬉しそうに笑っていると、俺のこと好きなんじゃないかと思いそうになる。

 いや、どうかそうであってほしい。


 あぁ、好きって言えたらいいのに。

 好きすぎて、おかしくなりそうだ。


(278文字)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る