君の隣

第10回のお題は「つなぐ」。10/7(土) 21~23時




 全然夏らしいことをできなかったから、せめてお祭りに行きたいと言い出したのは彼女だった。

 地元の祭りは終わってしまったので、近くで何かないか検索をしたら、隣町でやっていることがわかった。

 会場への道は、人でごった返していた。

 手を引いてあげられたらと考えるが、それはなかなかハードルが高かった。

「ねぇ」

 すると、彼女から声をかけられ、手をつかまれた。

「はぐれちゃいそうだから、手つないでて」

 俺は彼女の顔を見れず、わずかに視線をそらしながらうなずいた。

 彼女が小さく息をもらして笑うのが聞こえた。

 でも、俺は彼女の手を強く握った。

 彼女は、俺の側に体を寄せた。

 俺は今、改めて実感していた。

 君の隣にいることを。


(295文字)

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