少年少女のパワーローダー戦記・リメイク

MrR

プロローグ・人を動かすのは――

 Side とある自衛官


=夜・関西防衛線・某市街地=


(これがヴァイスハイト帝国の力か!!)


 ヴァイスハイト帝国の唐突な問答無用の軍事侵攻。

 あっと言う間に沖縄は陥落し、九州、中国地方の防衛ラインも突破された。

 担当地域の自衛隊は撤退を繰り返しながらどうにか応戦出来ている。


 敵が強すぎる。


 まるで宇宙人か何かと戦っているかのような錯覚に陥る。

 

 敵の物量もあるし、敵の陸上戦艦の力もあるが、軍用パワードスーツ、パワーローダーの想定外の戦闘力の前に、普通科の我々は勿論、自慢の戦闘ヘリや装甲車、戦車が次々と破壊されていく。


 被害は甚大。


 このままでは日本は――


『なんだアレは!?』


『謎のパワーローダーの援護を確認!!』


『発行信号確認!! 時間を稼ぐ、その間に撤退されたし!』 


 そんな時だった。

 謎のパワーローダーが現れたのは。

 そのパワーローダーは全身をローブで身に纏っていた。


 空中を流星だか彗星の如く飛び回り、次々と閃光と共に、敵のパワーローダーだけでなく、陸上戦艦までもをスクラップにしていく。


 聞いた事がある。


 開戦初期の頃から我々自衛隊と共に戦い続ける謎のパワーローダーの存在を。


 まさか実在していたとは。



 Side 谷村 亮太郎


 どうも谷村 亮太郎です。


 いやホントやだね。

 武力による世界征服なんてさ。


 昭和の悪役じゃないんだから。

 今どき流行らんよ、そんなの。


 それはそうと今は黒と金カラーのパワーローダー、ソーディアンに乗っています。

 武装は専用のライフルに丸いシールド、ビームサーベル。

 そして背部の二つの巨大なブースターが特徴かな。


 装甲素材は特注品のブラニュウム合金製。

 高価だが軽量でとても頑丈なご都合主義合金である。

 具体的には並のビーム兵器やレールガンすら止めるぐらいには頑丈だ。

 勿論動力はヴァイスハイト帝国のパワーローダーと同じく核融合炉です。


 最大の特徴は期待性能がヤバすぎて普通の人間が乗ったら、Gでミンチになると言う事かな。

 これと同じスペックの同型機に乗れる他の超人と一緒に現在日本存続のために戦っています。

 

 でも、これでも、いくら敵の陸上戦艦を潰しても、パワーローダー破壊しても――ヴァイスハイト帝国にも、そして背後にいる奴達にも勝つことはできないだろう。


 精々時間稼ぎにしかならない。


 だけど諦めない。


 その時は今じゃない。


 今は無理でも、そう遠くない未来に必ず自分達に続く者が現れる。


 この腐敗した国を変え、ヴァイスハイト帝国や、奴達にも勝利する者たちがきっと。



 Side ネロ


=ヴァイスハイト帝国・皇居=


 日本に今日に至るまでの防衛宣戦に彼――恐らく谷村 亮太郎達の姿を確認した。

 

 どうやら″僕達″とヴァイスハイト帝国に歯向かうつもりらしい。


 皇帝はこの世界を武力で統一し、理想国家建国を夢見ているようだ。


 その野望のために″僕達″を利用しているつもりらしい。


「ネロ様――如何なさいます?」


 と、側近の一人が尋ねてきた。


「僕は武力による統一を選択した。だけど谷村君やヴァン君は僕とは違う選択をした――彼達の足掻きを見て見たい」


 だけどそれを乗り越えたのなら――


 その時は――


 それを考えて僕はクスっと笑ってしまう。


「真に人を動かすのは勝者ではなく、敗け続けても、なお戦い続ける者か……強ち間違いでもないね」


「は?」


 側近を間の抜けた返事をする。

 僕は「ただの友人の受け売りさ」とだけ答えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る