万博にある法師

第1話

万博記念公園付近にある法師、年寄るまでららぽーと門真を拝まざりければ、あやうく覚えて、ある時思い立ちて、ただ一人、中環にて詣でけり。

きこうな守口、いおんもーるだいにちなどを拝みみて、かばかりと心得て帰りにけり。

さて、かたへの人にあいて

「年ひ思いつる事、果たし侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くことおはしけれ。そも、参りたる人ごとに南へ走りしは、何事かありけん。ゆかしかりしかど、ららぽーとる事こそ本意なれと思いて、南までは見ず」

とぞ言いける。

少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。