【終了】『KAC2023 ~カクヨム・アニバーサリー☆ 1~8 』

越知鷹 京

KAC20231 “本屋”📖



◇あやかし“本屋”の恋相談どころ◇



ここは、小さな書店のあやかし“本屋”である。


もちろん店主は八百万の神々の中でも『知恵の神』とよばれておる『玉やん』さんが営んでおりました。


さて、吾人ごじんは半年ぶりにこの店に立ち寄ったのですが。

いやぁ~、珍しいこともあるものですな。


偶々たまたま、あのお方とお会いしましてな―――。




 ◇


「久しぶりじゃな、ナベさん」

「やぁ、猫田さん。久方ぶりですな」


この“本屋”で吾人ごじんに気さくに話しかけてきたのは、

かつて 闇うごめく政界で、財界天皇とまで言われ、


また 東大を主席で卒業した大物相撲レスラーであり、

【江戸ノ龍】と異名をとったおとこの猫田さんである。



その後ろには、これまた小さな娘さんが居りなすった。


「まご娘の愛茉エマじゃ。カワえぇじゃろが!

 今日はこんの3歳の誕生日なんよ!

 それでな、絵本を買うてやろ思うてじゃなぁ」


そりゃもう満面の笑みでね。爺の貫禄なんぞ、ありゃしませんな。


「おい、店主! 店主はおらんのか?」



「へ ~~~ い」



ずいぶんと間の抜けた声が、奥間から聞こえてくる。


若いのに白髪。

ちょっとタレ目の30代くらいの男が、面倒だと顔に書いて出してくるではないか。


「ああ、猫さんか。どうした?」

「こんにおうた、絵本を見繕ってくれんかのぉ?」


店主は面倒くさそうに、女の子に好みを訊ねる。


「おい、ガキンチョ。どんな本がいいんだ?」

「男の人がいっぱい出てる本っ!」


大人を相手に、元気よく応えるではないか。

良き良き。このくらいの年頃は無邪気でよろしいですな。


「ちょっと、待ってろ」そう言って奥へと引っ込んでいく。


そこへ、美羽さんがやってきて、ちょんちょんと猫田さんの肩を叩く。

ニヤニヤと手にしておる本を差し出してきた。


『おとこの豚小屋』


表紙には、たしかに 男の人がいっぱいですな。

美男子と(亀甲縛りをされた)幼い顔の男性が 描かれておりました。


「猫田さん? どうしました? ねこたさぁあああんんッ!!! 」


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