「平城宮いざない館」で「大学寮」の復元模型を見ました。

 平城宮跡歴史公園「平城宮いざない館」で開かれたイベント「平城のとよほき」に行きました。


 講演を聞くのがメインの目的であり、その内容については前回の記事にしました。


 そして、その講演が連携している「平城京の町なかのお役所─大学寮と鋳銭司─」の展示を見ました。


 その展示では大学寮の復元模型があります。ただ……元ネタが『故実叢書大内裏図考證』という史料で江戸時代のもの。この本は平安時代後期の有職故実書(『江家次第』)などを典拠としているものの、展示会場のパネルにあるとおり「そこから奈良時代の大学寮を推定するには困難をともなう」ものです。


 とはいえ、パネルいわく、「平城京でもほぼ同じ位置に大学寮が存在していた可能性が推定されるとともに、『続日本紀』などの記述によって、釈奠など平安時代と変わらない儀式の場であったことも明らかである」


 まあ、鷲生は歴史”ファンタジー”を書く立場ですから、ざっくり古代の大学ってこんな感じというイメージさえつかめればいいので、ありがたく拝見して参りましたw


 実は鷲生は平安ファンタジーに大学寮を登場させたことがあります。少女東宮が護衛の女武人とこっそりお出かけするのです。

 ところが、今回の模型を見て、鷲生は当時イメージしていたのと建物配置が異なることに気づきました。


 あ、この模型についても写真を撮ってきましたので、noteに投稿しております(※1)。


 敷地の内部が区画されているのは、平安京の模型で知っておりましたが。

 その区画、「明経院」「算道院」「明法院」など、分野というか、今の大学で言うところの”学部”で分かれていたみたいですね。


 その明経院などは、建物が回廊で繋がれ、コの字のようになっています。


 中央にこの三学部が南北に並び、その隣に大学本寮があり、敷地の北には廟堂と都堂というものが並びます。


 廟堂というのは孔子廟だろうと思いますが、都堂とはなんでしょう?

 会場の説明によれば「いずれも釈奠の儀式に使用されます」とのこと。


 廟堂と都堂については脇殿をつなぐ回廊がなく、「儀式執行時に威儀を正すためでしょうか」とされています。南側の正殿は八脚門で両脇に潜門があります。


 そして「廟堂内には孔子をはじめとする儒教の先哲10人の画像が掲げられ、供物が捧げられています。先哲像に対して大学頭以下の参加者が拝礼をします」。


 それから「廟堂から都堂院に場所を移し、本庁で儒教の経典からテーマを選び議論が行われます」

 で。「都堂において宴席が行われます」。この宴席(「百度座」)と別に、もう一回別の宴席も設けられるそうですよ(「宴座」)。


 また、模型の横には椅子と机の勉強スペースの復元イメージが展示されていましたが、孔子の画像が飾られていたのではないかというので壁に貼ってありました。


 こういった大学寮の様子って澤田瞳子さんの小説『孤鷹の天』に描写されていたよなあ……と思いながら見ていましたら。

 この会場の説明でも、この小説が紹介されてました!(藤原仲麻呂の乱直前の、大学寮の学生たちの青春を描く重厚で面白い内容ですよ! ※1)


 鷲生は今回、友人とお出かけしたのですが、彼女にもオススメしましたよ~。早速購入したとのことですので、今度会った時に感想を聞くのが楽しみです。


 大学寮をメインで見たので、鋳銭関連はあまり見てないですw

 この「平城京の町なかのお役所-大学寮と鋳銭司(じゅせんし)-」展は、11月24日まで展示があるそうですので、お近くの方、ぜひ足を運んでみてくださいませ!(※3)



そうそう、鷲生が書いた、大学寮が出てくる平安ファンタジーはコチラです↓

「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」

https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393


 *****


※1 展示の写真はコチラです↓

https://note.com/monmonsiteru/n/ne5746f0b8eb1

https://note.com/monmonsiteru/n/n5a8de9bcc683


※2  澤田瞳子 『孤鷹の天』 徳間書店 2010

https://www.tokuma.jp/book/b504755.html (徳間文庫)


※3 「平城京の町なかのお役所-大学寮と鋳銭司(じゅせんし)-」 平城宮跡歴史公園Webサイト 

 https://www.heijo-park.jp/event/kikakuten-oyakusyo/

 




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