【和風F】【中華F】『龍の文明史』読み終えました。

 やっと読みました……。


 時間がかかったのは、最近の鷲生があまり読書できる時間が少ないというのもありますが。

 こういう分野は読み慣れてなくて、読み進めるのに時間がかかったのも大きな原因です。


 鷲生は学生時代は歴史学畑で(全然勉強しない学生でしたがw)、「歴史的事実があったかなかったか」「存在する事実はどのようなものであったか」などを考察する資料は多少は読み慣れている方かと思います。


 けれど、龍というのは存在しない生き物です。

「架空の生き物のイメージの源泉は何か」とか、「そのイメージが何とどう結びついているのか」とか、こういった問いに関する考察は、たとえアカデミックポストにある研究者の研究論文と言えども、かなり主観的な内容だと感じます。


 歴史学と神話学・民俗学などには、鷲生にとってはちょっと高い壁があるような。そんな気がしました。


 この『龍の文明史』の第4章までについては、この日記エッセイでも取り上げております。(※1)


 第5章の「龍の起源」(李国棟)では、龍と、鯉、馬、牛、羊、鹿との関係が述べられていました。


 188頁では下記のように書かれています。


「龍はもともと北方に起源する文化的産物である。北方の文化が南下するにつれて、また文化の統一という必要もあって、龍という概念の拡大が行われ、北方的な龍と南方的な龍が生まれた」


「北方的な龍が鯉、馬、羊、鹿などを基礎にして生まれ、天を志向するものであるのに対して、南方的な龍は大蛇、ワニ、トカゲ、鶏、犬などを基礎にして生まれ大地を志向するものである」


「そして最後に、北方的な龍と南方的な龍がもう一度統合して、今日のような龍に代わったのだ、と筆者は考えている」


 第6章「龍をめぐる神話」(百田弥栄子)では、上掲論文と同じように龍と他の動物との関係が述べられます(牛、犬、馬、蛇、猪と、鶏、ムカデです)。

 ただこの論文には、この著者の別の著書を読まないと意味が分かりづらいところがあるように思います。

 それから。全体に龍はこれらよりも弱いのだという論調なので、ファンタジー小説の中で龍が重要な役割を果たすなら、あまり参考にならないかもしれません(いうまでもなく、この方のご専門分野での位置づけとは別の話です)。


 第7章「シャーマニズムから見た龍蛇と鳥と柱」は、龍が春分に天に昇り秋分に淵に戻る去来信仰と、循環する時間概念とを論じる内容でした。


 第8章「龍蛇と宇宙樹のフォークロア」(金田久璋)では、日本のあちこちの龍にまつわる神話が具体的に紹介されていて、鷲生の目的からするとこの論文が一番参考になりました(和風ファンタジーで龍が超能力を持っているという設定の参考にするなら、という意味です)。


第9章「メソアメリカ文明における龍蛇信仰」(高山智博)は、さすがに和風ファンタジーとは関係しなさそうで読んでないですw


 鷲生にこの分野の素養がないだけで、お詳しい方には興味ぶかい本かもしれません。

 同じ文系の分野でも、鷲生が関心あるのはソーシャルサイエンスに偏りがあるんだなあと考えさせられた読書でした……。

 

 次は『平安時代天皇列伝』という本が気になっているのでそちらを読んでみようかと思います。絶対に実在する存在なら読みやすいいかもw


 ※1【和風F】【中華F】『龍の文明史』よんでます。

 https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16817330667286573188



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