青年期 356

「まあそんな事はさておき、飯にしようか」


「そうですね」


「そうだね」


「そうしましょうか」



俺が話題を変えて歩き出すとお姉さんと女性、少女も賛同して後ろからついてきた。



「夕飯は何を作るんですか?」


「久しぶりにラーメンにしようかと思ってるけど」


「ラーメン!いいねぇ。ギョーザも付けておくれよ」


「もちろんそのつもりだけど…あと一品何か付け足したいんだよなぁ…」



お姉さんの問いに俺がメニューを教えると女性が喜んで希望を話し、俺は了承した後に考えながら呟く。



「だったら締めのおにぎりなんてどうです?」


「それも考えたんだけど、多分ソレするとデザートが入らない気がしてね」


「あ…確かに」



お姉さんが自分の希望を込めて提案してくるが俺は拒否るように予想を話すとお姉さんに納得される。



「…ラーメンに餃子だしなぁ…もうちょっと軽いものが…」



夕飯のもう一品を考えながら呟いているとメニューが決まる前に自室に到着してしまった。



「…あとから考えれば良いか」



俺は考えを打ち切って成り行き任せの行き当たりばったりで良いだろう…と、とりあえずラーメンや餃子を先に作る事に。



「何ラーメンにするんですか?」


「希望とかある?」


「私は塩…いや醤油も捨てがたい…けど、やっぱりシンプルな塩で!」


「あたしは豚骨がいいかな。あのシューユと混ぜたやつ」


「オッケー。初めての二人は無難に醤油ラーメンにしとこうか」


「そうだね」


「その方が良いと思います」



お姉さんの問いに俺が聞き返すと悩みながら希望を話し、女性も希望を告げて来るので…



俺が了承して少女と女に提供するラーメンの種類を勝手に決めると女性とお姉さんは二人揃って俺の意見に賛同する。



「あの…そのらーめん?とは?」


「麺料理の一種です。どちらかといえばスープ料理にも近いですが…」


「麺料理でスープ料理か…まるで見当がつかないな」


「当たり前だよ。あたしだって初めて見たんだ、あんた様の時代には無かっただろうさ」



少女の不思議そうな顔での問いにお姉さんが料理中の俺に代わって答え、少し訂正するように補足すると女が意外そうに返し…女性は喧嘩腰なのかどうか判断に迷う感じで敬称を使って返す。



「坊ちゃんが言うにはどこかの郷土料理らしいですからね…味はとても美味しいのですが、もしかしたら技術の継承が出来ずにレシピだけしか残らなかったのかもしれません」


「「…なるほど」」



場を荒らさないようお姉さんが慌てて間に入るように俺の嘘を基にして考察するような予想を話すと少女と女の納得したような反応が被った。




…翌日。




朝食後に女が早く早くと急かしてくるので朝早くから再戦する事に。



「さて…目的地まで馬で一日ぐらいの距離だけど俺らならもっと早く着くかも」


「そんなに待てない。私が運ぶ」



分身の俺が拠点から出ながら予想を話すと女は焦れるように返してドラゴンに変身し、分身の俺を掴んで飛ぶ。



「おいおい、始める前から無駄に魔力を消耗して大丈夫なのか?不利になるぞ」


「この程度の消費が敗因になるようじゃ私が話にならないぐらい弱くなってるって事じゃない」


「…良く考えたら封印が解けてまだ一月も経ってないしなぁ…リハビリでアレと考えると怖っ」



分身の俺の微妙な顔をしながらの確認に女はそう返し、分身の俺は少し考えて呟いた後に昨日の事を思い出してビビるように言う。




「…おっと。着いたぞ。ここらへんだ」


「そう。分かった」


「あ?」



…拠点から飛行する事約15分ほどで目的地である平野部に着いたので分身の俺が到着を告げると、女は返事をして直ぐにパッと分身の俺を離して高所から落とす。



「ったく。降ろすんならもっと優しく降ろしてくれよ。戦う前に怪我したらどうすんだ」


「私が有利になるだけじゃない」


「…そんなんで勝って嬉しいか?」


「嬉しいとか嬉しくないとか感情の問題じゃなく、私は既に一度あなたに負けてるんだからなんとしても一回は勝ってイーブンにしないといけないの」



普通にスタッと地面に着地した分身の俺が苦情を言うと女はそうなった場合の想定を話し…



分身の俺の呆れながらの確認にプライドだか気持ちだかが絡んだ返答をする。



「それにあなたがこの程度で怪我なんてするわけないでしょ」


「そうだけど…気持ちの問題よ。気遣いの出来ない女だな…」


「これから戦う敵に気遣う必要なんてある?」


「あるに決まってんだろ馬鹿か。戦いが終わった後はお互いに後腐れ無いようにしないと遺恨が残って後々面倒になるぞ」



そして女が雑な扱いをした理由を話し、分身の俺が呆れたように返すと反論するように言うので…分身の俺は思わず反射的に罵倒してしまった後にノーサイドの精神を教えた。



「…それは……ごめんなさい。次から気をつける」


「そうしてくれ。あと俺も言い過ぎた、申し訳ない。次からは気をつける」



女は意外な事に受け入れて謝ると反省するように言い、分身の俺もノーサイドの精神を告げた以上雰囲気を悪くしないために形だけの謝罪と反省の意を示す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る