青年期 338
「んじゃま、成功したし早速マーメイドにでも変えるか。時間も無いし」
分身の俺は魔石の魔力回復による効果が切れる前に…と急いで他の魔物を探す。
「チャージによる魔力の一時的な変質ってどれくらいの時間持続するんですか?」
「ゴブリンとかスライムのだったら大体30分ぐらいかな」
「30分…じゃあ急がないといけないですね」
「ん」
魔物を探して歩いてると分身のお姉さんが疑問を尋ね、分身の俺がそう答えると急かすように言うのでちょっと早歩きで魔物を探索した。
「…そういえば、魔物に並行変化をかけたらどうなるんですか?」
「…さあ?」
「そもそもかけられるんですかね…?」
分身のお姉さんのふとした疑問に分身の俺は考えた事無かったのでどうなるか知らない事を返すと分身のお姉さんは不思議そうに呟く。
「かける事自体は可能だよ。ただマジでどうなるんだろ…?老師の予想では並行変化は魔物化までのカウントも倍以上早まるって言ってたからな…もしかしたら影響力が強い方にしか変化しないんじゃない?」
「なるほど」
分身の俺が肯定しながらも不思議に思いながら呟き、昔に家庭教師のおじさんの話していた予想を思い出して適当な予想を告げると分身のお姉さんは納得したような反応をする。
「まあでも後でやってみよう。とりあえず今は魚肉の確保だ」
「そうですね!」
魔物に並行変化をかけた結果は気になるが、それよりも当初の目的の方が大事で重要なので後回しにする事に。
ーーーーー
「…これだけ取れれば十分かな」
…約二時間ほどかけ、第二層まで進み、この国では手に入らない魔物の肉を大量に集め…
分身の俺は満足しながら呟いた。
「今日の夕飯が楽しみです!」
「これからは魚料理も出せるようになってよかったよ。じゃあ次の実験に移ろうか」
「はい」
嬉しそうな顔で言う分身のお姉さんに分身の俺は適当に流すように返し、また魔物を探す。
「…いた。とりあえず…最初はゴブリンとスライムあたりか…?」
分身の俺はスライムを見つけたのでどの魔物に変化させようか悩みながら呟く。
「あ」「お」
…スライムに変化魔法をかけてゴブリンに変化させた後に並行変化でスライム化させると…
ゴブリンの姿のままスライムのような水色の透明な感じになり、身体の中心に魔石が浮かんでいる。
「…なるほど。魔物に並行変化をかけるとキメラ化するのか」
「…二体の特徴が合わさった新種の魔物になりましたね。『ゴブリンスライム』?それとも『スライムゴブリン』?」
分身の俺が意外な結果になった事に驚きながら呟くと分身のお姉さんも驚いた反応を見せるが直ぐに受けいれて魔物の名前を考え始めた。
「…ちょっと戦ってみるかな。離れてて」
「分かりました」
分身の俺は好奇心からキメラ化した魔物がどんなものか確かめるために分身のお姉さんを下がらせる。
「ギー!ギー!」
「…普通だな」
「…ギ?…ギッ!」
「お」
キメラ化したゴブリンはいつも通り爪で引っ掻くように攻撃してくるので分身の俺ががっかりしながら呟くと…
何かに気づいたような反応をして手を振ってスライムの体液を飛ばして来た。
「なるほど。学習能力は高いわけだ」
現状の自分の特性に気づいてソレを活かすような攻撃に分身の俺は感心しながら呟き、逃げられる前に魔石抜きをして倒す。
「…なんか魔石の形も違うね」
「ホントですね!スライムの丸いボールのような形ともゴブリンの平たい六角形の形とも違う…!」
「こんな感じで平たくて丸いとフリスビーみたいでつい投げたくなるな…」
「ダメです!!」
抜いた魔石を見て呟くと分身のお姉さんが小走りで駆け寄って来て確認して肯定し…
分身の俺が前世の知識を思い出して投げる振りをすると、分身のお姉さんは怒ったように声を荒らげて分身の俺の手から魔石をぶんどる。
「こんな貴重な魔石を投げ捨てようだなんて何考えてるんですか!いくらなんでも頭おかしいですよ!」
「ああ、いや、こんな形の遊べる道具があったな、って。こういうのをお互いに投げて受け取るって遊びがあるんだよ」
「…本当ですか?」
めちゃくちゃ怒ってる分身のお姉さんに分身の俺が言い訳するように投げる振りをした理由を冗談混じりに説明するも疑うような反応をされた。
「流石にどうでも良いとはいえ価値のある魔石を捨てるほど馬鹿じゃないし。ってか俺、そんな風に見える?ってか思われてる?」
「…ですよね。流石に言い過ぎでした、申し訳ございません」
分身の俺が誤解を解くためにそう告げて確認すると分身のお姉さんは微妙そうな目を向けるも、一応頭を下げて謝罪する。
「まあ、とはいえ魔物に並行変化をかけると魔石まで変わるとは…」
「不思議ですね。ただ…問題は『コレをどう報告するべきか』なのですが…」
「…確かに」
分身の俺の切り替えるような呟きに分身のお姉さんは肯定して困惑しながら呟くので分身の俺も同意した。
「流石に私が勝手に坊ちゃんの変化魔法の技術を漏洩するわけにはいきませんし…というか、坊ちゃんの技術のほとんどはもはや『秘匿』というより『禁忌』ですから…」
「多分協会に報告した事が老師にバレたら怒られて説教くらいそうじゃない?」
「うぅ…」
本来なら絶対に墓まで持って行かないといけない情報が絡んできてるので分身のお姉さんは困りながら呟き、分身の俺が笑ってボケるように返すと分身のお姉さんが困り果てた感じで呻く。
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