青年期 329
「…フェーズ2では相手にならんようだ。フェーズ3への移行を許可する!」
「「「「はっ!」」」」
隊長っぽい男の指示に後から来た三人の男達は了承の返事をすると変化魔法を使ってグリーズベアーやワーウルフ、アルケニーの姿に変わる。
「おや?一人だけオーガのまま、って事は…これ以上は引き返せない感じ?」
「黙れ!必要が無いだけだ!」
…実際は隊長っぽい男も変化魔法を使わずに人間の姿のままなのだが…
分身の俺がこの場において明らかに不釣り合いな、ランクが一段下がる魔物の姿をしている男を煽る感じで予想を尋ねると怒ったように返された。
「分かる分かる、魔物化は怖いもんなぁ…引き返せない上に人間として死んだようなものだから魔物化が怖くて変化魔法は使えないよなぁ」
「なんだと…!?」
「よせ!挑発に乗るな!」
分身の俺は挑発するように半笑いで頷きながら呟いて暗に臆病者だという含みを込めて言うと、オーガの姿の男が簡単に引っかかるような反応をして隊長っぽい男が一喝するように制止する。
「ははは。この中で一人だけオーガじゃあ今見ての通り相手にならないし、格好の的だよ」
「よせ!お前は既に三度…!」
分身の俺の更なる挑発に男の姿が元の人間に戻ると隊長っぽい男が慌てた様子で手を伸ばして止めるが、男は変化魔法を使ってグリーズベアーに変身した。
「ぐ…グ、グアア!グオォ!」
「この馬鹿者が!」
「しまった!」
「魔物化だ!」
「魔物化してしまったか…!」
グリーズベアーに変身した男は両手を上げて吠えるという威嚇行動をすると周りの男達が動揺して一斉に魔物化した男に注視する。
「…なるほど。魔物化自体は俺の時とあまり大差無いように思えるな…」
「ちぃ!仕方あるまい!おい!こうなったら一時休戦だ!先に奴を退治するぞ!」
「「「はっ!」」」
魔物化するまでとその後の様子を見て分身の俺が昔の事を思い出しながら比較して呟くと…
隊長っぽい男は慣れたように直ぐに気持ちを切り替え、分身の俺に提案して部下達に指示を出す。
「…ふーむ、今ならまだいけそうか…コイツの相手は俺一人で十分。足手まといにならないよう邪魔しないで」
分身の俺は変化魔法の極技その2である『他人変化』がまだ効きそうなので意外に思いながら呟き、男の魔物化を解除するために一芝居打つ事に。
「なにっ!?」「なんだと!?」
「…面白い。やらせてみろ、奴がどう対処するか観察させてもらおうじゃないか」
グリーズベアーとワーウルフに変身してる男達が反発するように返すも隊長っぽい男は部下を止めて分身の俺一人にこの場を任せてくれた。
「グアッ!ガアッ!」
「ははは、こんなのが当たるかよ」
魔物化した男の引っかきを余裕で笑って避けながら分身の俺は人差し指でツボを押すような反撃をする。
「グオォ!」
「…そろそろか」
魔物同様の攻撃パターンでの噛みつきを避けて胴体を突き、魔物化した男の魔力の質が変わっていくような感覚に分身の俺は『他人変化』を応用した技…
変化魔法の極技その3である『相手の変化魔法の強制解除』を使い、俺が持つ変化魔法の究極技である『解除』で魔物化した男を元の人間の姿へと戻した。
「「「「なっ…!!??」」」」
「…?一体何が…?」
「ほうほう。多分だけど魔物化してる最中の記憶は無い、と…」
その場に居た男達が驚く中、魔物化から戻った男がキョトンとした様子で不思議そうに呟くので分身の俺はデータを取るように呟く。
「何を…一体何をした!」
「ツボを押して体の中の魔力の流れを一時的に止めた。思いつきでやってみたけど、どうやら完全に魔物化する前なら効果あるみたいだね」
隊長っぽい男の取り乱しながらの問いに分身の俺は適当な感じで嘘の説明をする。
「「「…ツボ…?」」」
「体内の魔力の流れを止めた…だと?…確かに変化魔法の発動や維持には魔力が必要だが……理屈的には理解出来る。しかしそれだと魔物化の進行が止まるか遅延するだけで元に戻る事は無いはずだ」
男達が不思議そうに疑問を呟くが隊長っぽい男は過程について理解は示しつつも結果に納得いってないような感じで指摘した。
「そんな事言われても。実際にそうなったんだからそんなもんなんでしょ」
「ぐっ…!」
「ただ、おそらく猶予が減ったわけでは無いからもう一度同じ事をすれば結局は魔物化すると思う」
分身の俺の適当に流すような返答に隊長っぽい男は反論出来ずに図星を突かれたかのような反応をし、分身の俺は注意や警告の意味を込めながら予想を話す。
「…ルーデン、貴様はあの二人を連れて下がれ。魔物化の危険を避けるため許可はフェーズ2までだ、それ以降は禁止とする」
「…分かりました」
「フォーメーション4を発動する!確実に奴を仕留めるぞ!」
「「「はっ!」」」
隊長っぽい男が倒れてる二人を指差して指示を出すと男は渋々といった感じで了承し、作戦を取るような事を告げると他の三人が返事をして分身の俺を囲うように動き始める。
「ほう、フォーメーション」
「フォーメーション4は『D』。つまり確実に抹殺するための連携だ」
「あ、『4だから死』とかじゃないんだ。まあ意味は一緒だけど」
分身の俺の不思議に思いながらの発言にワーウルフ姿の男がわざわざ説明してくれ、分身の俺は意外に思ってツッコミを入れるように返す。
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