子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても大丈夫！

青年期 273

…朝食後。

少女はお姉さん達や女性と一緒に魔法協会の支部へと向かうので俺は昼食のメニューを考える事に。

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「…ん？おっと。そろそろ昼飯の時間か…」

報告書を読みながらふと時計を見ると…そろそろお姉さん達が帰って来そうな時間になっていたので、俺は昼食の準備を始める。

「…あ。もう準備してるのかい？」

「おかえり。意外と早かったね」

「いやー、お腹空いちゃって…」

すると直ぐに部屋のドアがノックされ…女性が入って来ると意外そうに言い、俺が挨拶して返すとお姉さんが早く帰って来た理由を話した。

「んじゃ昼飯にしようか。突き出しとして先ずはコレ」

「…これは…？」

「肉の刺身盛り。コレは全部魔物の肉を使ってるから大丈夫だけど、普通の肉を生で食べると危ないから気をつけてね」

俺が小鉢に入った生肉の盛り合わせを出すと少女は不思議そうに見るので料理の説明と注意をする。

「魔物の肉…！コレ全てグリーズベアーの肉ですか？」

「いや？グリーズベアー、コカトリス、カースホース、ブルボア、バイソンの5種類の肉」

「そん、なに…！？」

少女の驚きながらの問いに俺が否定して肉の種類を教えると驚愕したような反応を見せた。

「やっぱり魔物によって肉質が全然違うので肉ごとに味わいや歯応えも全然違ってて面白いですね」

「唯一共通してるのは旨味が凝縮されてて『とても美味しい』って部分だね」

「なんと贅沢な…！まさかグリーズベアー以外の肉も食べられるだなんて…！！」

お姉さんがモグモグ食べながら感想を言うとお姉さんも賛同するように返し、少女は感激した様子でフォークで刺した刺身を見ながら呟く。

「…美味しい…！口の中で溶けるような肉から、柔らかくもしっかりとした歯応えのある肉まで多種多様な味わい…！」

「はい。次はコレね」

少女は少しずつじっくりと味わいながら食べるがお姉さんと女性は既に食べ終わっているので、俺は次の料理である春巻きを盛った皿をテーブルの上に置いた。

「ん～！久しぶりに食べるとこのパリパリの食感が…！」

「…やっぱり中華。中華料理に外れは無し、だ」

お姉さんが春巻きを食べて幸せそうな顔で感想を話すと女性も頷きながら鉄板である事を確認するように言う。

「…コレはなんですか？」

「春巻きっていう揚げ物。熱い内に食べた方が美味しいよ」

「…美味しい！これは…！！」

…その様子を見て少女が不思議そうに確認し、俺が軽く説明して直ぐに食べるよう促すと少女はまだ刺身盛りが半分も残ってるのに春巻きに手を出した。

「揚げ物は大抵なんでも美味しいからね。揚げパンしかりカレーパンしかり」

「パリパリとした皮の食感…！コリコリとした小気味良い食感の具材に、閉じ込められた肉の旨み…！こんな料理が…！？」

「そこまで称賛するほどか？まあ喜んで貰えて良かったよ。口直しにお浸しでも」

俺は少女の意見に賛同しながら別の料理の例を挙げ…

春巻きを食べて食レポでもするように驚く少女に流石に大げさじゃね？と思いながらも、ほうれん草のお浸しを小鉢に入れてテーブルの上に置く。

「これも美味しい！サッパリとした酸味が…」

「次はコレね」

少女の食レポを無視して俺は大皿に盛られた唐揚げを出す。

「…やっぱり唐揚げは美味しい…！」

「生肉と違ってジューシーな味わいがなんとも言えないね」

「あ、あの…提供速度が少し早いように思えるのですが…」

お姉さんと女性がフォークで唐揚げを突き刺さして食べて行くと、まだ刺身の盛り合わせや春巻きが残っている少女は困惑したように言ってくる。

「別に早く食えとは言ってないんだから自分のペースでゆっくり食べたら？無理に先生達の食べるペースに合わせる必要は無いし」

「そ、それはそうですが…」

俺が急ぐ必要は無い事を告げるも女性は減っていく唐揚げを見ながら納得いかなそうに呟く。

「ちゃんと取り分けてるから大丈夫だって。まあ一人前以上食べたいんなら早い者勝ちになるけど」

「…それなら…」

「…私達が合わせましょうか？」

「…そうだね」

俺の話を聞いて少女がなんとか納得するように呟くとお姉さんが気を遣ったように言い、女性も了承した。

「…この揚げ物も美味しい…！カリッとした食感と中の肉の柔らかさ、そして肉汁が…！」

「唐揚げはやっぱり鶏肉だよね。色々試して魔物の肉はどれも美味しかったけど…やっぱダチョウかコカトリスの肉が一番合ってる気がする」

刺身盛りや春巻きを食べ終わり、唐揚げに手を出した少女の感想に俺も唐揚げを食べながらそう返す。

「…魔物の肉を手に入れる方法もやはり秘匿事項のやり方ですか？」

「あれ？先生から聞いてない？」

「関係ないと思ったので話してません」

「…まあ確かに。聞かれてもないしハンターでも無い人に話す機会は無いか…魔石抜きをして倒すと魔物素材が全て取れるみたい」

「…そうだったんですね…」

少女の問いに俺が不思議に思いながら聞き返すとお姉さんが理由を話し、俺は納得しながら軽い感じで教えると少女は食事の手を止めて少し考えて納得したように呟く。