青年期 122
「…お、美味い」
「美味しいですね」
運ばれて来たピロシキを一つ食べて感想を言うとお姉さんが『俺の』皿に乗ってるピロシキを一つフォークで刺して食べ、同意する。
「コレは揚げてるから皮のカリカリした食感がまた美味い」
「やっぱり揚げ物ですねー」
「流石揚げ物に外れはないなー…」
「だろ?」
俺とお姉さんが料理を評価して話すと男の一人がドヤ顔で返す。
「ブォルシィチにはスティックバダールを付けて食べると絶品だ」
「へー、やってみよ」
青年の助言に俺は付け合わせっぽい物を追加注文して試してみる事に。
「…お、マジで美味い」
「サクサクのパンに合いますね」
…ボルシチに棒状に切られたパンを付けて食べてみるとビーフシチューに焼いたパンを付けて食べるのと同じぐらいに美味かった。
ーーーー
「…ふー…美味かった。ご馳走さん」
「美味しかったですね」
男達がおすすめする料理やデザートを食べて腹一杯になったので合掌して挨拶するとお姉さんも満足したように言う。
「どうだ?ロムニアの飯は美味いだろ?」
「ん。美味かった」
「そうだろうそうだろう…北西の地域以外の飯は美味いもんだ」
「北西はまた別なんだ?」
「荒れた土地が多いから収穫出来る物も限られていてな…この前話した内戦のキッカケも食糧問題だったからな」
男の一人の確認に俺が肯定すると別の男が得意気に頷きながら例外を挙げ、疑問を聞くと青年が理由を話してくれる。
「…さて。私達はそろそろ仕事の時間ですね」
「もうそんな時間か」
「またな」
おじさんが時計を見て立ち上がると他の男達も席を立って会計を済ませて店から出て行く。
「…あ、しまった。召喚について聞くのを忘れてた」
男達が居なくなった後に俺らも宿に戻るか…と思いながら立ち上がり、その拍子にふと思い出して呟く。
「あ。…また次の機会に、ですね…」
「…くっそー…飯の事で頭がいっぱいだったからすっかり忘れてた…」
お姉さんも気づいたように呟くと残念そうに返し、俺は後悔しながら呟いた。
「今から追いかけます?もしかしたら間に合うかもしれませんし…」
「いや、探すのも面倒だから次でいいや。どうせ近い内にまた会えるでしょ」
「そうですね」
お姉さんの提案を俺が断って楽観的に言うとお姉さんはその意見に同意するので、俺はそのまま会計を済ませて宿屋へと戻る事に。
…翌日。
「…お。なんだ?ジャガイモがめっちゃ安い」
「…本当ですね」
「やあそこのカップル。昼食の一品にも夕飯の一品にも使える芋はどうだい?」
観光するために適当に市場を歩いてると格安の値段表記が目に留まり、ジャガイモを手に取って見ると店員が声をかけてくる。
「…そうだな…じゃがバターとかフライドポテト…ハッシュドポテトとかもいいな…」
「ポテトは色んな料理に使える万能食材だよ」
「じゃあ少し買っていこうかな」
「ありがとうございます!」
俺がジャガイモを使った料理を思い浮かべながら呟くと店員がセールストークのように言い、俺は説得されるようにジャガイモを手に取って品質を調べて選びながら10キロ分購入した。
「…お。コレは…」
ジャガイモを購入した店から少し離れたところで今度はさつまいもを発見。
「珍しい…ってか安っ!」
「…これだとラスタの1/3…1/4ほどの値段じゃないです?」
値段表記を見ると個数では無く重さでの値段になっており、それでもかなり安いので俺が驚くとお姉さんも驚きながら返す。
「そういや俺らんトコで売られてたヤツってロムニア原産だっけ?」
「…すみません、覚えてません…」
「まあいいや。スイーツ作るのに便利だし、いっぱい買ってエーデル達にも分けてやろう」
俺の問いにお姉さんは思い出そうとするも忘れたのか恥ずかしそうに呟き、俺は適当に返して大量購入する事にした。
「きっと喜ぶと思いますよ」
「アッチじゃ簡単には手に入らないし、値段も中々に高いからね」
お姉さんが予想しながら言うので俺は同意するように言う。
「今日のお昼ご飯が楽しみですね!」
「…普通に外食しようと思ったけど…作るかぁ…」
お姉さんの期待しながらの嬉しそうな発言に俺は面倒くさいなぁ…と思いながらも何を作ろうか考えながら呟く。
「あ、コロッケが食べたいです!」
「あ、そう言えばさっきカボチャっぽいのも見かけたような…」
お姉さんがメニューをリクエストするので俺はふと思い出すように来た道を戻る。
「おお…俺らんトコよりは安いとはいえ、ジャガイモと比べたら中々…」
芋類とは違って重さではなく個数で、しかもそこそこ張る値段に、俺は微妙な顔になって呟いた。
「…まあいいか」
…魔石のおかげで金の心配は無く、スイーツにも使える事からとりあえず質の良さげな物を大量に購入する。
「…さつまいもと合わせて後で拠点に持って行ってエーデル達が来た時に渡そ…」
「もしかしたら他にも安い物があるかもしれませんよ?」
「あー…確かに。じゃあ夜か明日あたりでいいかな」
昼食時に分身に運ばせようと思いながら呟くとお姉さんが引き留めるように言い、俺は賛同して運ぶ時間を遅らせる事に。
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