青年期 82
…そして二日後。
「…ん?」
時期も終わりに差し掛かり、俺が初心者向けのダンジョンで修行しながら進んでいると…
「え。アレって…」
「もしかして…!?」
最下層に白銀のような色のゴーレムを発見し、分身のお姉さんに聞くと分身のお姉さんは驚いたように魔物を見た。
「多分、アレがミスリルのゴーレムだよね?なんでこんな初心者向けのダンジョンに?」
「ありえない…!ミスリルのゴーレムって金のゴーレムよりも上位種ですから、こんなダンジョンにいるハズが…!!」
俺が不思議に思いながら聞くと分身のお姉さんは驚愕しながら説明する。
「まあだから俺ら上級ダンジョンに探しに行ってたのに…まさかこんな所に出てたとは」
「…いくら降魔の時期だからって上級ダンジョンにしか居ないハズの魔物が初級のダンジョンに出現するなんて…初見殺しもいいとこですよ」
俺は微妙な顔をしながら呟きつつもミスリルのゴーレムに向かって近づくと分身のお姉さんが呆れたように返す。
「…ん?硬いな…」
「オォォ!!」
俺が魔物の心臓を狙って貫手を突っ込もうとするも第一関節までも刺さらず、意外に思って認識を改めながら呟くとゴーレムが上半身を回しながら両手を振って反撃してきた。
「おっと…動きが速い」
「坊ちゃん気をつけて下さい!ミスリルのゴーレムは普通のゴーレムよりも軽い分動きが素早いらしいです!」
一応回避は出来たが、普通のゴーレムや金のゴーレムよりも動きが素早く結構ギリギリだったので…
俺はまたしても認識を改めながら呟くと分身のお姉さんが注意を促すように魔物について説明してくれる。
「…硬くて軽くて魔法無効か…なんとも素晴らしい金属…いや、恐ろしい魔物もいたもんだ」
「オオォォ!!」
俺がミスリルのゴーレムを見ながら嬉しく楽しいと思いながら呟くと、魔物が両腕を振り上げて勢いよく振り下ろす。
「…よっと。…とても軽いとは思えない攻撃だな…金のゴーレムよりも重くね?」
俺は軽く回避出来たが地面に出来たヒビを見ながら予想した。
「オオォォ!」
「うっ…!…マジか、コイツ…もしかしてミノタウロスと同等か…?」
大体の力は把握出来たので魔物の薙ぎ払うような攻撃を腕でガードすると俺の予想以上に強く、俺はその場に踏ん張りながら脳内の情報を更新する。
「いってー…ちょい認識が甘かったか…サイクロプスと同じぐらいだと思ったのに…」
「オォォ!」
「…よし、オッケー。そろそろ決めるか」
俺は少し痛みのある右腕を振りながら魔物の攻撃を避け、魔物についての分析は終えたので変化魔法を使う。
「…ォォォ…!」
そしていつもどおり部分変化と並行変化した右腕を、隙を見つけてミスリルのゴーレムに貫手で突っ込み、魔石抜きで倒した。
「お疲れ様です!腕は大丈夫ですか?」
「ギリギリね。あとちょっと見極めがズレてたらヒビ入ってたよ…今までの経験に感謝だ」
「そこまで…!?…という事は少なくともミノタウロス級の力がある…?」
「ゴーレムらしく硬くて、巨人にしてもスピードがあって、力もミノタウロス級って考えると流石は上級、『強さに偽りなし』って気がするね」
「…A級のパーティでも一握りしか倒せなさそうですね…」
分身のお姉さんの確認に俺が笑いながら話すと驚愕しながら返し、俺の感想を聞いて考えるような感じで呟く。
「そうだね。硬さや力はともかく、動きの速さが一番厄介だ」
普通のゴーレムや巨人系だと思って対応したらあっという間にやられるよ。と、俺はミスリルのゴーレムの注意点を告げる。
「…でもこの軽さでミノタウロスとほぼ同等の力というのも信じられませんね…」
「アルミみたいな軽さでチタンみたいに硬い金属っぽいから…魔力の力でパワーを出してるとか?」
「なるほど…時期が関係してるのかも…」
分身のお姉さんが落ちてる金属を拾いながら驚くように呟くので俺が前世の知識に例えながら言うと聞き流すように予想した。
「でもミスリルがこんなにいっぱい落ちるなんて凄いですね」
「ゴーレム系は魔石抜きしたら全身が崩れ落ちるからじゃない?全身魔物素材の塊みたいな感じだし」
落ちてる金属を拾いながら分身のお姉さんが嬉しそうに言い、俺も拾いながら理由を予想する。
「…確かに。純金のゴーレムなんて山ほどの金が落ちましたし…」
「下手したら魔石よりも魔物素材の方が売値が高かったりして」
「…まあ、量を考えると…」
俺のボケるようなジョーク的な発言に分身のお姉さんは困ったように笑いながら呟く。
「…とりあえず他にも居ないか探してみよう。ミスリルが大量に取れるんならエーデルやリーゼ達の防具も作れるし」
「…これだけでも足りません?プレートアーマーにしても二人分なら問題無いと思いますが…」
魔物素材を回収し終わった後に白銀の中に淡い紫色が見える魔石を渡して俺がそう告げると、分身のお姉さんは拾った量で予想しながら返す。
「そう?でも先生の分除いたら一人分しか作れないじゃん」
「えっ!?私の分ですか!?」
「うん。いつもダンジョンに同行するんだから先生の防具を優先して揃えないと」
「坊ちゃん…!あ、ありがとうございます!よーし!探しましょう!」
俺の返答に分身のお姉さんが驚きながら聞くので肯定して理由を話すと感激したようにお礼を言って急に張り切りだした。
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