傭兵団結成編
青年期 37
そして翌日。
朝早くから兵が来て報酬の話をするので早速ギルドに受け取りに行くと…
なんと!俺も含めた傭兵全員に一律で一年分の額が出た。
「…侯爵のトコと同じぐらいだと思ったのにえらい奮発してくれたね」
「全くだ。たった10日足らずの働きで平均年収と同じ額とは…」
「侯爵の所と合わせたら二週間とちょっとで一年と半年分の額が稼げたって考えると…」
「…今までではありえんな」
ギルドの受付で報酬を受け取った後に俺が感想を告げると男も驚いたように賛同し、他のハンター達も驚きながら話す。
「本来なら傭兵の給料って命がけの割に平均年収の三倍程度って話でしょ?」
「期間にもよるが…基本的には日給計算なので戦いが長引けば長引くほど報酬は増える。まあ最後まで生き残る事ができれば…だがな」
「逆に待機時間が長く、正規兵や騎士団達の働きで戦いが終わった場合には報酬がほとんど無い時もある」
俺の問いに知り合いのハンター達が経験談を話しながら分かりやすく説明してくれる。
「へー…じゃあまだハンターとして働いた方が稼げるな…」
「…お前さんクラスともなるとそうだろうな」
「ほとんどのハンターは専業でも不安定だから傭兵として働くんだがな…」
「まあどのみちいずれ国が危機に陥ればライセンス持ちは真っ先に徴兵されるんだから、元々ハンターイコール傭兵みたいなものなんだけどね」
「…『兵の訓練と同様』と見なされているからこそハンターやシーカーはダンジョンでの活動が許可されている面があるからな…」
俺が考えながら呟くと知り合いのハンター達はみんな困ったように笑いながら話し合う。
「まあそんな事はさて置き、だ。お前さんはこれからどうするんだ?」
「うーん…内戦には参加したくないからなぁ…また隣国が攻めて来ない限りは普通にハンターとして活動するかな?」
男の問いに俺は少し考えながら呟いて返した。
「ほう?どこを拠点にするんだ?それとも旅や放浪でもするのか?」
「しばらくは王都に戻ろうと思ってるけど…そうか。放浪の旅とかもいいな…」
「俺達もついて行っていいか?」
男が興味深そうに更に尋ねるので俺は予定を話しつつも考え直すように呟くと、他のハンターから意外な提案が。
「え?」
「やっぱり個人で活動するよりも集団の方が動き易いと思って…」
「それに君と居ると戦いが楽になるし、報酬も上がるし、早く終わるし…で良いこと尽くめだし」
「うむ、信頼出来る者と活動した方が色々と楽だからな」
「少年ならば命を預けるには十分過ぎる」
驚く俺に知り合いのハンター達が同行を求める理由を話し出す。
「…集団って事は…つまり傭兵団を組むって事?」
「そうだね」
「そういう事になるな」
「うん。よろしく、リーダー」
「団長。よろしく頼むぞ」
俺の確認にハンター達が肯定すると何人かが笑いながら弄るように挨拶してきた。
「…俺がリーダーでも本当にいいの?」
「「「ああ」」」「「もちろん」」「「無論だ」」
俺がまた確認するとみんな同時に頷いて肯定する。
「じゃあ名前を決めないとな…傭兵団の名前か…あと申請もしないと…あ。じゃあ早速暇が出来たら王都に向かってくれる?俺も後から行くから、ギルドの前で合流ね」
「「「分かった」」」「「了解だ」」
俺は傭兵団の事について考えながらとりあえずみんなに移動するよう指示した。
「…ただいまー」
「お帰りなさい。どうでした?」
「うん、平均年収分は貰えた」
「へー!凄いですね!たった一週間とちょっとでその額って」
俺が一旦みんなと別れて宿屋から出るとお姉さんが聞いてくるので普通に教えると意外そうに返す。
「あと…なんか傭兵団を結成する事になった」
「…え?」
俺の報告にお姉さんは驚きながら聞いてくる。
「知り合いのハンター達が俺について来たいとか一緒に行動したい…って言い出してね」
「あー…なるほど。坊ちゃんにダンジョンや戦場で助けられたハンターや傭兵達が慕って来たわけですか…」
俺が軽く説明するとそれだけでお姉さんは理解したようで、納得したように呟く。
「じゃあ申請とか手続きもするんですか?」
「うん。面倒だけどそうしないと傭兵業の時にかなり面倒になりそうだし」
「確かに…特に報酬の面で厄介な事になりそうですもんね…」
お姉さんの確認に肯定しながら理由を話すとお姉さんも同意した。
「まあとりあえず傭兵団を結成するからには拠点も必要だしなぁ…どこに行こうか…」
「…そうですね…王都の方が色々と都合がいいし……いっそのこと王都の外の土地を買い取って開発すれば良いのでは?」
お金なら私も出しますよ?と、お姉さんは予想外のスケールの大きな提案をしてくる。
「おおー、それは面白い。王都の外だったら俺が修行に使ってる林の所は安かったはずだし」
「そうですね。あそこは確かヘクタールで4~500万ぐらいだったと思いますよ」
「よし。 じゃあ早速王都に帰ろうか」
「はい」
俺はお姉さんの提案を了承して仲間の傭兵達が王都に着く前に…と、早速城塞を出て王都へと移動する事に。
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