青年期 11

「…お。戻って来た」


「なんか傭兵全員の指揮を執っていいんだって」


「ああ。少年が離れて直ぐに兵士達から通達があった」


「マジ?タイミングが悪かったかぁ…」



ハンター達が集まってる所に戻って報告するも特に驚いた様子はなくそう告げるので、俺は別に聞きに行く必要無かったな…と思いながら呟く。



「しかしまさか傭兵全員を率いる事になるとは…」


「ま、そういうわけで今の内に部隊を編成しておこうか。全員で何人居るか分かる?」


「ココに居るのは500名ほどだな。今戦場に出ているのが多分300名ほどだと思うが…」



俺が明日を見据えて簡単な編成をするために確認するとハンターの一人が思い出すように教えてくれる。



「約500名か…ココに居るのは俺を除いて10人…50人ずつ任せて良い?」


「ああ、任せてくれ」


「はは。大任だな」


「後輩の引率には慣れている」



流石に俺一人で全員の面倒は見きれないので、ハンターの人達にお願いするとみんな笑って頷き、快諾してくれた。



「じゃあ5人から10人でチームを組ませて、5から10のチームで一つの部隊みたいに集めよう。リーダーはハンターのライセンスを持ってる人にした方が良いかも」


「分かった。では人を集めてくるか」


「待て。一度皆を召集してからの方がいいのではないか?」


「…確かに。その方が正確な人数も分かるな」



俺の提案に数人のハンターが動こうとすると別のハンターが呼び止めて提案し、男も少し考えて賛同する。



…そんなこんな陣営に居る傭兵達を集めて簡単に部隊を編成すると終わる頃には夜になっていたので、俺は宿屋へと戻る事に。




…翌日。




まだ日が昇る前に兵士が宿屋の部屋に俺を呼びに来た。



「…こんな朝早くから行くんですか…?」


「…まあしょうがない。ちょっと行ってくる」


「…いってらっしゃい…」



眠そうなお姉さんの問いに俺もあくびしながら返して告げるとお姉さんは見送りの挨拶を言ってベッドに戻る。



「…ココだ」


「…おはようございまーす」



兵士に案内されるままついて行くと陣営のテントに着いたので俺が挨拶をしながら中に入ると…



「…来たか。では始めよう」



木のテーブルを囲む5人の指揮官っぽい人達の内の一人が合図をした。



…そしてみんなで今日の方針について話し合う。



「…ちょっといいですか?」


「なんだ?」



話を聞いてる限りでは結局今までと同じ方針で終わりそうだったので俺が断りを入れると指揮官の一人が尋ねる。



「前線の維持はソッチの兵達に任せていいですか?俺ら傭兵は昨日みたいに突撃しての背後強襲を狙って敵を後退させるので」


「…上手くいくのか?」


「昨日みたいに二度目の突撃の時に脱出口を作ってくれるとありがたいです」



俺の提案に指揮官の一人が確認するので俺は成功する前提で連携をお願いした。



「しかし失敗すると全滅もあり得るぞ。それでもやるのか?」


「大丈夫です、午前と午後の二部隊に分けるので。もし最初に失敗しても削るだけ削って午後に成功させますんで」


「…分かった」


「ありがとうございます。俺らは真ん中から突っ込んで行くので俺らが来たら一時的に通り道を開けてもらえますか?」


「いいだろう」


「そして…」



俺はテーブルの上にある周辺地図と駒を動かしながら俺が考えた作戦を分かりやすく説明する。






ーーーーーー






「さーて、みんな準備は良い?」



日が昇った大体7時ぐらいの時刻に俺は戦場から少し離れた場所で300名ほどの傭兵部隊を集めてから確認した。



「ああ、大丈夫だ」


「こっちもだ。いつでもイケる」


「じゃあお願い」


「任せろ」



知り合いのハンター達が準備の完了を告げるので俺は魔法使いに指示して空に火属性の魔法を打ち上げて貰って合図を出してもらう。



「…よし!行くぞ!突撃ー!」


「突撃!」


「突撃開始!」



合図を見た前線の兵達が道を開けてくれるので俺が号令をかけて敵の中へと真っ先に突っ込んだ。



「!またコイツら…!」


「中を固めろ!また奴らが突っ込んで来るぞ!」


「ははは、惜しかったな!」



敵兵達が急いで陣形を変えて守りを固めようとしたがちょっと遅く、俺が鉄の棒で敵を蹴散らしながら笑って突破を狙って突き進む。



「よし、突破!二手に分かれるぞ!」


「おう!」


「後続!俺について来い!」



敵の群れを抜けた俺が指示を出すと今回はちゃんと二手に分かれる事が出来た。




「…ちょっとココ任せて良い?」


「ああ。構わないが…どうした?」


「ちょっとアッチ側の動きが気になるから撹乱してくる」


「分かった。…死ぬなよ」



敵の背後を突いたはずの俺らを逆に包囲するような動きが見えたので、俺は知り合いのハンターに部隊の指揮を任せて一人で敵の別働隊っぽい集まりの所へと向かう。



「やーやー!我こそは300名の傭兵部隊を束ねる指揮官なり!」


「なんだと!」


「おい!兵を集めろ!コイツを殺ればあの部隊はおしまいだ!」



俺が名乗りを上げて交戦すると兵達が他の所からも人数を集めるかのように動き出す。

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