少年期

少年期

…そしてそれから三年の月日が流れ…



俺はついに10歳になったので現段階での修行の成果を確認するためにダンジョンへと行く事にした。



「おおー、ココがダンジョンの入口かぁ…」



いつもとは反対側の街外れに行くと壁や鉄柵で厳重に囲われた場所があり、中を見ると鉄製の扉しか無い。



「ほとんどのダンジョンは国管轄の施設となっておりますので、本来なら入るのに許可が必要になります。今回は私のハンターのライセンスを使いましょう」


「でも見張りの人とか居ないけど…勝手に入ったらどうなるんですか?」


「バレなければ何の問題もありません。ですが、もしバレたら厳罰です。それでも毎年毎年無許可で入る人が後を絶ちませんが」



おじさんの説明に俺が周りを見ながら聞くと珍しく険しい顔になって厳しく注意してくる。



「そ、そうなんだ…でも許可はどうやったら取れるんですか?」


「ダンジョン近くの街や村の役所に申請すれば時間はかかりますが大抵貰えます」


「ちなみに『ハンター』や『シーカー』のライセンスを持っていると役所に申請しなくても大丈夫ですよ」



俺が気をつけよう…と思いつつ疑問を尋ねるとおじさんは正規のやり方を教えてくれ、お姉さんが補足してきた。



「ハンター?シーカー?」


「『ハンター』とは魔物を倒す専門職を指し、『シーカー』はダンジョンの探索、調査する専門職を指します」


「なるほど」


「どちらもギルドで試験を受けられますよ。その試験に合格する事が出来ればライセンスを授与され、ハンターやシーカーを名乗る事が出来るのです」



俺の疑問におじさんは説明しながらダンジョンの扉を開ける。



「このダンジョンは初心者用なので浅い階層には強い魔物はいませんが…それでも油断すると命にかかわりますのでお気をつけて」


「はい」



扉を開けた先の階段を降りながらおじさんが俺に注意を促してきた。



「この一階層に居る魔物はゴブリンのみ。ゴブリンは小柄で力が弱く、ハンター初心者や駆け出しでも簡単に倒せます…が」



おじさんは先導するように歩きながらココに居る魔物の情報を話し始める。



「鋭い爪や牙を持ち手先も器用な上に知恵も回り、身軽ですばしっこく仲間意識も強いので気づいたらゴブリンの群れに囲まれていた…という危険もある油断ならない魔物です」


「なるほど、気をつけます」



おじさんが注意喚起をするように魔物の危険性を告げるので俺は気を引き締めながら返した。



「そして魔素が濃い場所ほど魔物の危険度も上がっていきますので…ココには居ないと思いますが、様々な武器を使うゴブリンの存在も報告されています」



棍棒、剣、斧、弓…と、おじさんは例を挙げながら更に魔物についての授業を続ける。



「中にはパチンコや投石で戦うゴブリンも居ると聞きますが……おや。いましたね」



ダンジョン内を歩いているとおじさんが子供のような身長の緑色の魔物…『ゴブリン』を発見した。



「よし!修行の成果を見せる時だ!先生、持ってて!」


「はいはい」



俺が魔物の攻撃で破れないよう服を脱いで特殊繊維のパンツ一丁になり、服をお姉さんに投げると…



お姉さんは服を受け取った後にその場で畳み始める。

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