第10話 鉄拳

 俺達三人はドラゴンに会いにいっている。


「しかし、まあ、王都にも金鉱山のクエストが出ているなんて」

「難易度高いんですね」


 ちなみにトドーはクエストの事を伝えると、吾輩は命を粗末にしないと言って不参加だ。


[山登り省略]


 ◇


『誰だ、この領域に踏みいれ、ってお主らか』

『お父ちゃん精霊使いいないよ~』

『父上、僕、勝てます、戦います』

『まあ、勇ましいのね、さすが我が子』


[鱗をもらう、やり取り省略]


 ◇


「じゃあ、帰るか」


 歩く旅脳筋の旅の途中。


「馬車がやられてる。いくぞ!」


[救出省略]


(あーぁ、やっちまった)


 ◆


 後日


(まあ、こうなるわな)


「面を上げい」


 今、俺達三人は、国王と会っている。

(もちろんトドーは連れてかないよ)


「お主らか、王女を助けたのだな、礼を言おう」

「はっ、ありがたき御言葉」

「じゃあ、帰ってよいぞ」

(面白いな、この国王、呼び出してこれかい)


「お父様、あの者たちドラゴンの鱗を持ってます」

(余計なこと言うな、馬鹿王女)


「ほう、献上してくれると」

(持ってきてねぇよ、ってディーン凄いね)


 無事に献上する。


「じゃあ、帰ってよいぞ」

(面白いな、国王、鱗だけ持っていくんかい)


「国王、お願いがございます」

(ディーン強心臓だな)


「なにかね」

「魔法部隊にいるタレスという者を王都防衛から外し、研究職に配置転換していただければと」

「ほう、そんなやつがおるのか」

「はい、学園で三年は次席でしたが一年二年四年と主席で卒業した者です」

「わかった。宰相、そのタレスというものを配置転換するよう手配しろ」

「仰せのままに」


 ◆


 夜


「レオン、お邪魔しています」

「おう、タレスどうした?」

「皆さんに報告があってきました」


 みんなをリビングに集める(親父さんはレイの御守ね、あとクレオ君も)


「夕方、王都防衛から魔法部隊副長補佐に配置転換されました」

(はぇーよ、国王。それに副長補佐って上から四番目だろ)


「ディーン君がね、王様に命令したの」

(ジャンヌ、お前、王に命令って処刑ものだぞ)


「そうだったのね、ディーンありがとね」


「それで、お給金が三倍になりました」

(ディーン、お前、本当に凄いよ。宰相になれんじゃん)


「夢だった研究職に、まさか、こんなに早く着任できるだなんて、皆さんのおかげです」

(ってかディーンね。あとタレス、お前さんの実力があってこそだよ)


「じゃあ、ご栄転を祝して、パーティーするか」

「材料は買ってあります」

(ディーン、お前エスパーだな)


「あと、もう一つ報告とお願いがあって、魔法部隊の宿舎から出ろって言われて」

「あぁ、ここに来るのね。もちろん大歓迎だよ」

(って言っておかないとね、ソロン恐ぇえし)


 ◆


 冒険者活動をしていると、やはり前衛だけでは限界がある。


「後衛を探さないといけないな」


「あたいが復帰出来ればいいけど」

「私も復帰できればいいんですけど」


 親父さんが俺を睨む。


「どういう事だレオン?」

「あ、あ、あのですね」

「お前まさか」


「ダ、ダディ、卒業論文書くのに実践経験があった方が良かったの」


「そんなことは聞いていない、レオン、どのくらいだ?」

「え、え、えと十ヶ月です」

「ちと来い!!!!」


 襟を掴まれ外まで引きずられる。


「てめえ、ルイを命の危険にさらしたんだな?」

「は、はい、そうです」


「ダディ、私がお願いしたの」


「おめぇは黙ってろ。レオン、なんで止めなかった?」

「あ、あの、ルイの希望もあって」


バコーン、ゴン、ドン。


「お前が、止めなきゃダメだろ。違うか?」

「は、はい」

「ハイヒール!」


バコーン、ゴン、ドン。


「なぁ」

「は、はい」

「ハイヒール!」


バコーン、ゴン、ドン。


「そうだろ?」

「は、はい」

「ハイヒール!」


バコーン、ゴン、ドン。



「誰か、止めなくていいんですか?」

「無理だと思います」


「あたい、ダディに後衛お願いした方が、いい気がしてきた」

「僕もそう思うな」


 ◇


 親父さんが気が済むまで俺をボコボコにした後。


「ダディさん、あたい後衛やってた賢者なんだけど」

「あ"ぁ」

「どのくらいまで回復魔法使えるの?」

「ああ、覚えんの面倒だからハイヒールとデスペル解呪だけだな」

「ヒールはポーションでキュアは毒消し草で対応してたのね」

「そんな面倒なことしない、敵は焼ききる」

「??」

「インフェルノ使う」

「「え?」」

(そりゃ、賢者ふたりは驚くでしょうよ。ボヤ騒ぎ、俺になすりつけたくらいだし)


「僕、使えませんよ」

「あたい、ファイヤーストームまでだわ」


「おめぇら四属性使えんだろ、俺は火とハイヒールしか使えん。あとな」

「??」

「ソロンといったか、ルイもそうだが、前線にでるな」

「「……」」

「失ったらな、もう元に戻らないからな。子供を大事にしろ。わかったか」

「「……」」

「わかったら、返事!」

「「はい!!」」


「ということだ。老兵は前線にいくぞ、レオン」

「わかりました。親父さん」


 「剣聖騎士」は前衛が俺とトドー、ディーン。中衛にジャンヌ、後衛に親父さん。

という編成になった。

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