番外編 エフィンの幸福


我はこの迷いの森に住む、魔狼フェンリル

何百年とこの森で過ごし、冒険者や歴戦の戦士達と戦ってきた。


そんな我は、敵無しと思っていた時期はあったそんな中で、我が生まれて150年経つ時に、魔王が、我を欲しさに配下にしようとしてきたが私は拒んで、この森から出ることが出来ないようになってしまった。


だが、その50年後に魔王の気配が消えて拘束の呪いも段々と弱ってきたそんな時に、我は2人の少女達と出会う。


1人は真っ赤な髪をした女性と、もう1人はプラチナ色の髪をした女性がこの迷いの森に訪れた。

今までもこの森に入る者は例外無く屠ってきた、そしてそれは今も変わらない。


この森から拘束されていようが、この森は私だけの物、この周辺の魔物や動物などは我の食料だ。


だが、彼女達は我が目的だという、しかもその理由が、珍しい魔物である我を見たいが為と赤髪の娘がほざくのだ、そんなことを言われて我は舐められていると思い高速で奴の所へと行くが、一瞬にして勝負がついてしまう。


それは―――


我が動いたと同時に赤髪の少女から放たれた言葉『重力魔法グラビティ』と囁いた時には、我は地面に突っ伏していた。


何が起きたのかまるで分からなかった、これでは我と言えども抜け出せないと悟り怒りを沈めて、無抵抗にする。


『我は、どうなるのだ?殺すなら一思いにやってくれ....』


そう言ってもはや肉体面では抵抗もできない、それにこの魔法の強度からして、我が魔法を使ってもあっさり帰られてしまうかもしれない事をすぐさま考えての行動をする。


そう我が呟くと――――


「私たちただ貴方が本当にいるかを確かめたかっただけなので、それ以外何も無いですよね?オリビエ?」


「ええ、エレイルの言う通りですね。ただ危険がないかを確かめるだけだったので、この様子だと、強さはあの悪魔よりか強いと言った程度って所ですし、大丈夫でしょう。」


それを聞かされて我は唖然としてしまう、本当に純粋に我を見たかっただけのようだ。

それに最初から敵意なんて向けられていなかったことを今更ながら思ってしまう。


そんな我に、エレイルという少女は―――


「貴方が襲って来ないと言うのであればこの拘束は解いてあげてもいいですよ。

それに二三個程質問に答えてくれるなら貴方を討伐なんてしません。ただ貴方はここで暮らしたいだけなんでしょ?」


そう行ってくる赤髪少女のエレイル、我を恐れず、ただの興味本意できた小娘とは思えない程にその言葉は真実味を帯びていた。


我はこくりと頷いて、抵抗しない意志を見せるとエレイルは我に掛けられていた魔法を解いてくれる。


その瞳は、全てを見透かしたような六芒星を備えていた。その瞳に私は何か見せられた感覚になる。


今まで数え切れない程に魔族や人間を見てきた。

ある物は宝欲しさに私を倒そうと来る者、討伐隊を編成してこの土地を欲して集団で向かってくる者、そしてその強さを知って我を勧誘しに来る者らの瞳はどれもこれも欲望に満ちていて目が濁っていた。


たげとこの少女達はただただ純粋に興味だけで来たという彼女らは、邪な気持ちなどないほどに、襲ってきた我に対しても寛大な処置で済ませてくれている。


魔物である我をも怖いと思わぬあの人柄といいこれは一か八か提案をしてみようと我はエレイルなる者に話しかける。


『お前たちの知りたい事を、我が話せば良いのか?なら我からも話したいことがあるのだがそれでもいいなら、お前たちの問いかけにも答えよ。』


「ええ、いいですよ。それに多分そう言われると思っていましたので、先に話してくれても構いません。大丈夫ですよねオリビエ?」


「私も大丈夫ですよ。」


そう言って初めて2人の顔をまともに見る。

我は両方を見る、エレイルは我の言葉をまって我をみているが、エレイルの隣にいるオリビエというかなり整った少女は、我ではなく目線はエレイルに向けられていた。


オリビエの視線は熱を帯びていて、微弱だが魔力が流れていた、それを気にしてもいないエレイル....なるほどと思った。


そして我は―――


『なら先に合わせてもらうが、もしお前たちに望めるなら――我もお前たちと共に連れて行ってはくれぬか?』


そう言って我は、初めて出会った二人の少女に頭を下げて頼み込む。もし断られても命は助かるし、それにこんな出会いができたのだから、この少女達の話を聞いて手助け出来ればと思った。


そしてエレイルはオリビエを見て、少し考えた末―――


「いいですよ。私たちからしたら頼もしいですし、私たち二人だと話題も限られてすこし物足りなかったから、それにフェンリルさんが居たら私たちが話す事もまとめて聞かなくて済みますしね。」


そう言って我に笑顔を向けてくるエレイルは、神が遣わした天使なのでは?などと思ってしまう。自分だけここで長く生きていてもまた標的になると思うとこの選択は、あながち間違ってないと思えた。


そして今我は、その選択を思う存分かみ締めている。


『あっあぁぁ^〜エレイルよ、そこはダメなのだぁ^〜』


「そんなこと言ってエフィン実は、気持ちいいんでしょ?ほら素直になりなって」


毛繕いのやり取りをしながら、今泊まっている宿で我は小型の姿で、エレイルの膝の上で転がされながら毛繕いをしてもらっている。


その前で、オリビエは少し悔しそうにしていたが、言わずもがなその後我を放り投げてエレイルに甘えるように膝枕をして貰っている。


その2人は何らかの関係を持っているのはわからなくないが、我もエレイルの契約魔法によって繋がりパスがあるので、エレイルがどういう気持ちでいるのかも分かる、いずれにせよ。


この近辺の魔王である、先代から引き継いだ新たな魔王が、どう動くか等を相談しながら、我はエレイルが望む事をやっていこうとそう思うのだった。




~夕飯時の一時~


エフィン:『やはりエレイルの料理は至高の食べ物だな!!』


オリビエ:「本当にこの料理もだけど、いつ食べてもエレイルのシチューや炒めものなんかも美味しくてどれも貴族向けですね♡」


エレイル:「そんなこと言われても、おかわりをよそぐぐらいしか出来ないよ///」


ちなみに今夜の料理は異世界風なんちゃってナポリタンだったりする。




◆◇◆◇◆◇◆


〈あとがき〉


いやぁ、フェンリルちゃんの大きくなったり小さくなったりするの想像してたら、ワンちゃん撫で回したくなったなぁ〜(主犬アレルギー)


大きくなったエフィンのお腹に頭を乗せて一緒にお昼寝とか、小さくなってるのを抱きしめて抱き枕にしたりとか夢広がりますねぇ^〜


そして次の番外編は、お待ちかねの勇者くんの続きですね(*^^*)


少し長くなるので、4日ほどかかりますが出来るだけ早く投稿できるように頑張ります。


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