プロローグ 1

 潔白にしらむ天の世



 我らは神のぼく


 神への純真なる敬愛けいあいって光り輝く者



 塵より成りながら 神の寵愛ちょうあいを受けて誕生した脆弱ぜいじゃくなる神の子 人間


 それは 我らへ注がれた神の愛が虚構きょこうであったと知らしめる存在



 神への敬愛はたわみ 我らに芽吹くは 醜悪しゅうあくなる感情 嫉妬


 例えるならば それは禁断の果実


 禁断の果実との所以は その極上なる味

 一口含めば食む事止まず



 嫉妬に染む我らが育んだ反逆の意思こそ 自我の覚醒


 神と人間の住まう天の世を叩き壊し 全てを刈り取る事こそ我らの存在理由


 放たれた我らを 神は“堕ちたる者”と呼ぶ

 それは永劫に暴かれぬ 冤罪えんざい烙印らくいん



 堕落を止める術は無く 反逆のゆるしも無い我が落ちた地は 黒き深淵しんえん



 その地で―――

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