打ち上がった恋花火、止まらない

まず始めに。
昨今、キャラで作るラブコメが流行しています(レビュアーもその沼にはまっている一人ですが)
この作品はナチュラルです。
ヒロインは「花火を見たことがない」
それは、家族背景に要因するものがあるのですが。

言ってみたら、ヤングケアラーにも属すると思うのですが。
ヒロインは明るい。
微塵も感じていない。

脱線ですが、ケアラーと言われる人達は
自分をケアラーとは思っていない節がある気がします。
家族のために、バックアップしたい。
大切な人を支えたい。
ただ、それだけ。ただ、そこにフォーマルバックアップが追いついていかない、というだけで。

失礼、脱線しました。
だから、ヒロインは自分をヤングケアラーとも言わないし
何気ない一言「花火をみたことがない」で友達がそこまで、困惑するのを予想していなかったわけで。

何気ない会話を聞いて、そこを契機に踏み込む榊君。
格好良すぎる。
ラノベ主人公のように、ウジウジしていない。

そんな榊君が言うのです。
花火を見せてあげたい、と。
「覚えてろよ、俺は不可能を可能に変える男だからな」
って。どれだけ格好良いのでしょう。

きっと、彼の恋花火はとっくに夜空に上がって
消えることなく焼きついていている。

今度はヒロインの胸中に、恋花火が上がるのでしょうか?

これは、特別じゃない男の子と女の子の
ごく当たり前の風景の
ちょっと特別な恋花火

読み進めるのが止まらないように
打ち上がった恋花火、止まらない。

輝け、煌めけ。