第31話友情2
「欲が出たんでしょうね」
「欲ですか?」
「ええ」
「それはミリアリア様の事でしょうか?」
「ええ。愛する恋人と結ばれても正式な妻にはなれない。息子を産んでもその子は公式的には他人の息子。自分の子だと公表できない。そういった不満もあったんでしょうね」
「私としては、フラン様が生きていらっしゃった事の方が驚きです。しかも大聖女になっているなんて」
「色々あったの」
「そのようですね」
そう、あの日生き返った私は正式に『聖女』になり、数年後には『大聖女』に。
人生分からないものだわ。
他の人は兎も角、私は『似非聖女』。それが『大聖女』に上り詰めるなんて思ってもいなかった。
まぁ、決めたのは私ではないので責任は絶対にとらないし、とれません。
もし、万が一、偽物とバレた時のために善行を積んではいるものの、それだけでは心もとなかった。匿ってくれる友好国を見つける必要があったのです。
レオーナが嫁いだ国。
あの国に
情報収取の過程でレオーナの境遇を知ったのも偶々。
酷い結婚相手もいたものだと心底思ったわ。
しかも自分の
レオーナを『誘拐』してきた事に後悔はない。
あの日のあの時間でなければ次のチャンスは訪れないと思い、実行に移した。
私の時のように死を偽装しなければならなかった。
いいえ、それ以上の事をする必要があった。だって、
「それにしても驚きましたわ。目が覚めたら知らない部屋にいたんですもの。しかも、亡くなったはずのフランソワーズ様が抱きついてこられて。あの時は天国のフランソワーズ様が私を迎えにきてくださったのでは?と本気で思いました」
「それはごめんなさいね」
本人の許可を取らなかったのは悪かったとは思っているけど、結果オーライだから許して頂戴。
「いえ、こちらこそお礼を申し上げなければなりません。フラン様に救われていなければ、今頃どうなっていたか……」
「それはお互いさまよ」
数年ぶりに再会し、二人で泣きながら抱きしめ合ったわね。
「それで、フランソワーズ様はこの後どうされるおつもりですか?」
「あら、どうもしないわ。あの国が潰れようともね。一応、当時の邪気は払ったし……」
「それ以降、かの国に行ってませんよね」
「行く必要はないでしょう?レオーナを殺そうとした国を助ける程、私は
「はい!」
私が冷たく言い放つと、彼女の反応にも慣れたもの。特に気にしていない。
むしろ嬉しそうだわ。
私とレオーナは世間では死んだ人間。あと数十年は聖王国から出る事は叶わない。人々の記憶の中から私達の事が薄れるまでは――――
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