第17話 魔道具を作ろう!
おかげでようやく、魔道具作りに入ることができる。
テンションが上がったまま、俺は
「ふむ。このままだと少しサイズが大きいな。いくつかに分けて研磨してから使いたいところだが、残念ながら今は手元に刃物がない……ん?」
俺の目に留まったのは、たった今倒したばかりである凍結竜の死体だった。
最大開放の
あれに魔力を込めれば、簡易的な刃物になるかもしれない。
「悪いな、もらっていくぞ」
牙を根元から折り、魔力を通していく。
うん、問題なく使えそうだな。
その後、俺は
よりレベルの高い凍結竜ではなく
「さて、これでひとまずの準備は完了か」
一通りの用意を終えたタイミングで、俺は魔力を練り上げて術式を展開する。
「術式変換――
モンスターがいない中、どうして
それは当然、魔道具作成にこの魔術が必要となるからだ。
俺は魔力を練り上げつつ、術式に質の高い火属性の魔力を満たしていく。
だが、いつものように限界ギリギリまで注ぐことはしない。
そんなことをしてしまえば、次の工程で破綻するのが目に見えている。
ある程度、魔術の火力を高めたタイミングで、俺はさっそく入手したばかりのそのスキルを発動する。
「魔力凍結、発動」
通常であれば、その名の通り敵が術式を展開している最中に発動することで魔力の流れを止め、妨害するための力。
今回はそれを応用する。
凍結の性質を持ったその魔力を、俺は自分が展開した術式に向かって発動した。
「――
瞬間、キーンと、
魔力の供給を止めても、消失や暴発は起こらない。
「よし、とりあえず第一段階は成功だな。続いては……」
ここでようやく
そしてそのタイミングで、再び魔力凍結を発動する。
「
すると、シュゥゥゥゥゥと焼印を押されたかのような音を鳴らしながら、術式が魔石に付与されていく。
数分後、魔石の表面には見事、付与した術式が浮かび上がっていた。
それを見届けた俺は、成功を確信して笑った。
「うん、うまくいったな。これでこの魔石は
探索者ギルドのアイテム売買所で見たところ、こういった攻撃魔術が付与された魔道具は少ししか置いていなかった。
ダンジョン内で入手できる限られた魔道具しか置かれていない中、この魔術石を売り出せばボロ儲けは間違いない。
まさしく完璧なアイディアだ!
自分の天才的頭脳に恐れおののいていると、ふと大切なことを思い出す。
「っと、そうだった。この魔道具を使うのは俺じゃないんだがら、レベルの低い奴が使ってしまえば反動でダメージを負う可能性があるな」
もちろん、それを解決するための方法は知っているが。
「魔石の反対側にも、出力時の衝撃を相殺する術式を付与してっと……よし、できた。これで今後こそ、誰でも発動可能な魔術石に仕上がったはずだ!」
満足しつつ、俺は2つ残された
「やっぱり、
結果として、あの時魔導書ではなくこちらの魔石をもらっておいてよかったのかもしれない。
まあ、それはさておき、
「残る2つも
仮に俺が氷属性の魔術を発動することができれば、
まことに無念だが、その機会はまたいずれに回すとしよう。
「まあ、魔道具作成はかなりの魔力と集中力を必要とするから結構な時間がかかる。続きを作りながら、どうするかゆっくりと考えるとするか」
そう方針を決めた俺は、そのまま思う存分、魔道具作成に没頭するのだった。
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