初芽と冴子のオカルト日記

紫音咲夜

記録1:祠と解けない雪①

 オカルト調査日記

 二〇XX年 〇月×日

 Y県にある田舎の集落で、洞窟を発見した。不思議なことに、それは人の手によって作られたように見えた。規模はそれほど大きくない。出入り口から奥までは、十メートルくらいだ。横幅は、大人が二人並べるくらいだろう。一本道の一直線だから、入口に立って最奥を見ることもできる。とはいっても、灯りのない洞窟だ。実際は、暗すぎるせいで、入口に立っても最奥は見えない。

 洞窟内には、祠が一つあるのみだった。場所は最奥で、扉が壁にくっつく形で置かれていた。変ではないだろうか? これでは、祠の扉を開けることができない。一体、何の目的で逆向きに置いたのだろうか?

 そこで、祠の向きを変えて、扉を開けようと考えた。しかし、あまりの重さに一人では持てなかった。体感で、六十五キロくらいだろうか。だから、応援を呼ぶことにした。二、三日すれば、友人が手助けに来てくれる。

 私は、死をも覚悟して調査に臨む。このブログを読んだ諸君は、重々覚えておいてほしい。もし、このブログ、調査結果が更新されなければ、その時はその時だ。

 オカルター雅樹

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