第12話

「ライブと静かな相川と」


『さぁ皆さん!いよいよこの部活動紹介も、最後の1組になりました!おそらく皆さんこの1組を待っていたのではないでしょうか!それでは、最後の部活、スクールアイドル部の発表です!!』


 司会者のアナウンスと同時に体育館の照明がアイドルのライブの様な演出に代わり、体育館全体を様々な色のライトが照らし出し、そして最後にステージの中心に集まった。すると、そこには3人の人影がそれぞれのポーズを取って立っていた。すると、体育館のスピーカーから曲のイントロが流れ始めた。それと同時に生徒たちのボルテージが一気に跳ね上がり、最大限の盛り上がりを見せ始めた。そして、声援に答える様に手を振りながら3人が話しかけてきた。


「みんなぁ~!!こんにちはぁ~~!!」


「「「「「こんにちはぁぁぁぁぁ—―――—!!!!!」」」」」


「今日は私たち”AERIAL”のオリエンテーションの特別ライブに来てくれてありがとう!!今日は是非楽しんでいってね♪」


「と言っても、曲は後2曲しかないけれど」


「「「「「えええええぇぇぇぇぇ―――――!!!!!?????」」」」」


「それでも、その2曲で皆を最大限に満足させることを約束するよ」


「「「「「わああああぁぁぁぁぁ―――――!!!!!」」」」」


「それじゃあ、早速次の曲に行くよぉ~!!聞いてね!『SugarBeat』!!」


 真ん中の女子がタイトルを口にすると、その曲のイントロが流れ始めて生徒たちのボルテージが再び盛り上がった。その盛り上がりを横目に俺は感心しながら呟いた。


「毎度のことだが、家の学校のスクールアイドルは本当にレベルが高いな」


「……夢歩君、多分それは違うと思う」


「え?」


 不意に聞えてきた否定の声に思わず聞き返すと、まるで見定める様な目つきで”AERIAL”を見ていた愛歌が呟いていた。歌いながら踊っている3人を見ている愛歌が話の続きを話し出した。


「あの3人は確かにレベルが高いけれど、でも本当に凄いのは3人がそれぞれ突飛した才能が丁度いいバランスを保っているからでしょ?」


「そ、そうなのか?」


「ほぅ?相川女史は解る様だな!”AERIAL”の人気の秘密が」


 和人が愛歌に向かって何処か嬉しさと含みを籠めた口調で話し掛けると、眼鏡を指で上げてから早口で解説を始めた。


「仮に、スクールアイドルに必要な能力を挙げるとすると、歌唱力であるヴォーカル、見た目のヴィジュアル、ダンスの大きく分けてこの3つに分けられる。そしてこの3つの能力が全て高ければ高い程人気に直結すると言っても過言ではない。この”AERIAL”はその3つの能力のうち1つの能力が突発している。例えば向かって右側の短髪の女子は3人の中でダンスが1番上手い。対して左側の黒髪の女子は3人の中で1番ビジュアルが良い。そして……」


 和人の解説が一度切れると同じタイミングで”AERIAL”の曲が一番盛り上がるサビの部分に差し掛かり、スポットライトがステージの中央に立っている女子を照らし出した。そして、最後のサビを歌い出したのを確認してから続きを話し出した。


「……そして、最後の1人である彼女は3人の中でヴォーカルが1番上手い。つまり、あの3人はそれぞれが1つの才能が突発して上手いからこそスクールアイドルの頂点に立っているんだ」


「なるほどな。にしても、相変わらず和人はアイドル関係になると早口になるな」


「ふっ、そんなに褒めるなよ。照れるだろう?」


「全く、相川も何か言ってやってくれないか?って、相川?」


 愛歌に話を振ってみたが愛歌からの返事が無かった。気になった俺が愛歌の方を見てみると、愛歌は静かにだが何処か見定める様な眼差しで3人を見つめていた。そして、静かに独り言を呟くように話していた。


「……右の子は確かにダンスが上手いけれど、あれは彼女自身の才能でどうにかしているだけでどうにかなっているだけ。今はどうにかなっていてもすぐに壁に激突する。その時に彼女が立ち上がれるかどうか……。それに、左の子は確か”nini”の専属モデルだったはず……。どうして今更スクールアイドルになったの?そして真ん中のあの子は正直歌以外は……」


「相川?どうした?相川」


「えっ!?う、ううん!!何でもないの!!」


 俺の呼びかけに我に返った愛歌は何でもないと言ってきた。すると、丁度”AERIAL”のライブも終わりを迎えていた。


「皆ぁ~!!今日はありがとう~!!」


「最高に盛り上がったよ~!!」


「女子の皆は興味が在ったら是非ともスクールアイドル部の部室に足を運んで欲しい」


「「「「「はああぁぁぁぁぁぁい!!!!!」」」」」


「それじゃあ皆!バイバ~イ!!」


「「「「「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」


 生徒たちの歓声に手を振りながらステージの袖へと捌けて行った。それと同時に司会者からオリエンテーションの終了を知らせてきた。


『以上で新入生歓迎オリエンテーションを終了します!新入生の皆さんは今日の放課後から部活動の見学に向かって下さい!部活動の先輩方が説明をしてくれますので見に行って下さいね!それでは1年生から順番に退場して下さい!』


 アナウンスが終わると共にオリエンテーションは幕を閉じた。

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