プロローグ
昔の話
「君は 『夢』と聞いて何をイメージする?」
2年前の春休み、俺の人生を変えた”あの事件”をきっかけに出会った人物、俺が先生と呼ぶことになる女性は俺に問い掛けてきた。あの時の俺はその質問の意図が解らず先生の期待していた答えとズレた返事をして、先生が苦笑いをしていたのを憶えている。
「それって小さい子供が良く言っている『将来の夢はパイロット』みたいなやつですか?」
「それも確かに『夢』ではあるが、それとは少し違う。寝ている時に見る『夢』の事だよ」
「寝ている時に見る『夢』ですか?」
「そうだ。『夢』は睡眠中における一連の思考や心象等の情動のことを言うが、私たち”世界”では別の意味もある」
「別の意味ですか?」
「あぁ。私たちの”世界”において『夢』は自由な物であると同時に、未来を見る為の手段等に使われている。つまり、『夢』とは最大の道具であり手段なんだよ」
「道具であり手段、ですか……?」
「その通り。現に君のその”能力”も私が言った通り『夢』を手段にしているだろう?」
「……確かにそうですけれど」
「ただね、そんな『夢』も使ってはいけない方法がいくつかある」
「使ってはいけない方法ですか?」
「あぁ。それは——―」
そこから俺は先生から様々な事を教えてもらった。その時の俺は良く分からなかったが、この時の教えてもらったことが、時が経ってから起きる出来事に繋がっていることになるとはこの時の俺は知る由もなかった……。
☆
この物語は”人の夢を見る能力”を持った俺が、『夢』を叶え、その後に絶望と苦悩とそしてその中で見つけた小さな願いを祈った少女の物語である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます