家出と言って家出をするのって、帰る場所がある人の余裕と言い換えても良いかも知れないと、この小説を読んで思いました。本当に帰る場所が無い人は家出とは言いませんもんね!何だか切なくて心を抉ってくる作品で好きです。
親との些細な喧嘩をして、家を飛び出した──私。家出先の熱海の祖母の家に向かう途中、迷子の見知らぬおばあちゃんに出会うのだが……。2000字程の短編ですが、心にぐっと込み上げてくるものがありました。登場人物達の背景にリアリティーがあり、どこか懐かしくもあり。人に優しくしたくなる、そんなお話でした。