天宇と慈雨の

刃先に触れた指

瑠璃るりの水面に散るはすの花

睡蓮すいれんが夕日に照らされるように

銀盆ぎんぼんふちに横たわり眠る

天高く月が昇るまで



流れゆく白糸しらいと

月明かりを隠しながら

菊の花を夜空に散らす

西に沈みゆく数多あまたの星は

芥子けしの実のようにくすみ輝いて

乱雑に夜空を駆け

しらみゆく空の果てに消える



真円しんえんは未だ還らず

六芒ろくぼうの星が加護の目のように

田畑に金色こんじきの波を描いて揺れて

平穏な朝の訪れを

望むようにあおあけ待つ



うは深淵しんえん

にくべた火が

燃え尽きるように

星の白は灰にくすみ

睡蓮すいれんの花はその身を閉じて

手に触れていた温もりは

風紋ふうもんのように形を変える



あけの明星

末日まつじつ白瀬しらせ

残らぬときと残された吐息とき

絡みついた糸は赤く

薬をつける指は惑い

山間やまあいに落ちた月を見送り

待ちわびぬ朝に枕を濡らす

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