当たり前こそが『彼女』の日常である。_放課後(4)

あけましておめでとうございます!!

今年も《ジ・combi》をよろしくお願いします!!!

_________

これは初音が猫乃に会う前の数分前である。

「初音!」

「ん……?おお!受李!待っとたよ〜!こいつ、めっちゃ強いよ!」

「はいはい分かった。あとは任せろ」

「ちょっとは慈悲の意はくれぇ!」

「はいはい」

涙目でボロボロになっていて何故か片腕を抑えている初音を当たり前かのようにバトンタッチし、初音はすぐにこの場からダッシュで離れた。そして受李はすぐに無気力な目から冷たい目に切り替えて巨人を見つめた。

「あれ〜?おかしいなぁ……あの子、確実に動けないような感じなのに……」

と言っている巨人は片腕にかすり傷をしただけで他は無傷であった。

多少はダメージは入る程度か……。それに

受李はさっきダッシュした初音の容態を思い出す。服はボロボロして手は片腕を支えるかのようにおさえていた。まるで脱臼したかのように。

「……随分、やったな」

「えぇ?だってあの子はだもん。だから、めっ!てしたんだよ♪」

「へぇ……」

この話で受李はなんとなく察した。

こいつ……やってんなぁ…。と。

多分、初音は投げられて腕を脱臼されたのだろう。近くに吐血らしい血跡がある。……酷いな。とその同時に受李の心のそこから怒りがふつふつと湧いていたがそれを抑えるように一層増した冷酷な目で巨人を見つめた。

「ちょっとお姉ちゃん怖いよ………。そんな顔はしない方がいいよ〜」

「…っせーな」

「え?」

「うっせーな、ブサイク。こっちはお前の声でうんざりしてんだよ。」

と受李は毒が入った言葉を言った。すると巨人は

「うっ……うぅ……」

何故かへこたれて泣いていた。ヘタレかこいつは……と思っていた受李は

「おい、なんで泣いてんだよ」

と呆れながら聞くと

「ひどい、ひどいよ……。私、これでも努力してるのに……。さっきの人も「ブサイク」って言ったの!」

「うわ、先越された!」

「うう……ひどいよお姉ぢゃん゛!!」

その時

ズドォォォン!

受李の視界が一気に一回転された。それは言うまでもないでもない。巨人が受李をぶっ飛ばしたのだった。しかも、距離もあるのに、素早く

「がはっ!」

飛ばされた勢いがあるせいか受李の口から血が出てきた。すると

ズドン!ズドン!

鳴り響く足跡とともに巨人が受李の前に来ては

「あたしはこんなにも頑張ってるのに」

と巨人は叩こうとしたが、受李はそれに気づいてすぐに避けた。だが、勘が当たったかのように巨人は受李にまた受李がいた場所には大きめのクレーターがあり、そこにいた受李はもう破片になって散ってしまっているだろう。

「こんなにも……こんなにも…可愛くなれる努力しているのに……!!んもう!」

と受李は即座に巨人の蹴りを避けたがその蹴った衝動の風圧で別の壁にぶつかった。

「ぐぅ……!」

受け身がなかったら死んでたわ!!

と受李は口から出ている吐血をペッと吐いた。そして、その同時に

「これは……ガチで許さないな……」

と脳裏に浮かんだのだった。実はほんの少しだけクレーター入りの巨人の足跡を辿ったのだった。当初地点にたどり着いたそこには数人の女性らしい死体を見かけた。半分くわれた者も入れば、踏み潰されて形もない者もいた。多分、気に入らず殺されたのだろう。

それにこいつ……殺すことを躊躇ともわなかった。

そう、巨人は殺すことをただの躾だと思っていること。親の環境の影響を見ていたのだろう。だが、その割には強すぎだな……。つまり、こやつにはないと

「……」

受李は無言で俯いたまま立ち上がった。一旦白い息を出して前よりドス黒い膜を出てくる。まるでそれを見てないかのように巨人は

「本当に酷いよ!お姉ちゃん!私をブサイクなんか呼んで!今度言ったら、もっと…」

「てめぇに姉と言われる呼ぶ権利はねぇ…」

「え?」

巨人は受李に向かおうとした途端、受李がゆらりゆらりとよろめいた。その時、

突如として受李が巨人の目の前に消えた。

「ええ!?どこ行ったの!?逃げないで…ぐぉぉ!」

ズドォォォン!!!

と巨人は誰かによって蹴られ転んだ。誰、誰と巨人は振り返るとそこには高いところで冷酷な目で見下ろしている受李がいたのだった。

「………」

「な、何で?あんなに血いっぱい出たのに……」

「……決まった」

「え?」

今の状況に困惑する巨人を置いていき、受李は降りて、両手を猫の手にして一旦は指先を少し重ねて黒い膜を引き伸ばした。すると

ジャリジャリ…バン!

「!?」

巨人の周りから鎖らしいのが出てきて、そのまま巨人をきつく縛った。

「きゃあ!」

拘束された巨人は身動きが取れないせいで倒れた。何これ!?と巨人は驚いて力を入れて鎖を外そうとしたが、中々力が入らないようにこの鎖が外されてない。すると

「あんたの《》《》が決まった」

「!!」

その冷酷な声に一気に青ざめた巨人は恐る恐る前を見る。その目の前にはとある映画の怖いお母さんの顔で見下している受李がいたのだった。

「ひっ!」

「あんたはこれ程までの酷いことをしたんだ。それなりの罰は与えさせてもらうよ」

「な、何を…?」

「お前の《》宣告《》を言う。___お前は死刑だ」

とそう言い受李は人差し指を巨人に指して、を渡した。

「死……あ゛ぁ!」

突然、巨人の両足がだんだんと膨れ上がる。

「い゛だい、いだい゛!いだい゛ぃぃ!!」

そして、

バァァン!

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁ!!!」

爆発で散った足とともに巨人の悲鳴があがる。さらに鎖が解かれたと思いきや

バンバン!バババ!

「あ゛!あ゛あ゛ぁぁぁ!!!あ゛ー……!い゛…だい゛……」

手、耳と各部位を爆散しまくるとともに巨人の声は枯れた。そして、最後にぶくぶくと顔も膨れ上がってきて

「あ゛……で…」

「ん?」

「あ゛ずげて……」

と涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった巨人は最後の小さな声量で助けを求めたがそれに対して受李は、

「悪いが、出来ねぇ。これはあんたがやった事だ。自業自得だ」

「あ゛ぁ…」

パァン!

と巨人の顔が爆破で散ったと共にその破片と青い血が受李の制服や顔に掛かった。




「………え?何これ…」

とその巨人の最期を見た猫乃は生気のないことを言う。

「これが受李の技だよ。結構グロいだろ?」

「ねぇ、さっき言ってた《》《》って……」

猫乃は受李が巨人に放った、《》宣告《》が気になって仕方がないのだった。

「ああ、あれね………私も分かんねぇが…きっと、とんでもないがあるらしいんだよ。しかも、桁違いに」

「魔能力?なにそれ」

「魔族には、その魔能力というなんかやばい力があるんだよ。まぁ、うちはあんま無いから親からは「気にすんな」と言われたが」

「そんな力が……初めて聞いた」

__確かに、良く考えれば……

猫乃はあの時、受李が両手から黒い膜を出していたことを思い出す。

「そりゃ、強いよね……」

「うん……まぁな」

「ん…、あれ?初音たちいたんだ…」

「…っ」

その時、青い血が掛かりまくりの受李が猫乃達を見た途端、猫乃の顔が引っ付いた。

「こらこら、そんな顔すんじゃないよ」

「だ、だって……あの状態だし……」

「別に気にしてないよ。そんなことより初音、特別警察の番号知ってる?俺、全然知らんけど」

「えー、うち何度も教えたのになー。ほな、言うで」

「うん」

と受李は汚れた手をスカートで拭いてスマホを取り出す。巨人が爆散したのにも関わらず初音と受李は、まるで当たり前のような感じに話していることをとても異様すぎると猫乃は感じてしまった。

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