プロローグ

これが『彼女』の日常である。

「………佐藤」

「はい。どうですか、先輩」

「こりゃ……もう酷いわ……」

と先輩と呼ばれた刑事はくわえたタバコを一旦、抜き出しフーと煙を吐いた。そして、タバコをもう一度くわえ俯いた顔をあげた。目の前のを見た。そう、今ここで起きたのは不自然の殺害事件である。ここ大きな遊具がある公園で男性の死体があると通報があったのだ。その男性の死体を見ると想像以上のグロくまるでホラー映画に入った。仰向けになってる男性の目が青く、顔色は白い。そして吸われたのか左半分が搾れた痕がある。

「この白衣……もしかしてここの病院の医師なんでしょうか」

「一応、その確認をしたが、ここのじゃないらしい」

そうこの公園の数百メートル先には大きい病院に小学校、さらには老人ホームもあるという。

「もしそうだとしたら、ここに居るのもおかしいし、この虫眼鏡を持っているのもさらにおかしい」

「ですよね……」

と佐藤は鑑識部に回収される虫眼鏡を見た。

「田中、他にされたのは?」

「スマートフォンに財布、それとこれですね」

と田中が出したのは名札ケースだ。中には名刺を入っていた。田中は名刺を取り出すとその一枚を先輩刑事にあげた。

「こんなとこに名刺なんて置くか?普通」

「まぁ、これはご本人のやり方なんでしょう」

「確かにそうだけど……なーんか、おかしいんだよ。これ、俺達がやらねぇような気が…」

と先輩刑事は頭をくしゃくしゃにしている。

「ん?」

その先輩刑事をよそ目に佐藤はを見つけた。それは青の血痕だ。人差し指で辿るとすぐその先の方に続いている。佐藤はごくんと唾を飲み、血痕を追った。まるで違和感を追うように。


血痕は公園を抜け出し、ある隙間に続いていた。

「ここで終わっている……」

と佐藤は俯いた視線を前に向ける。

「………!!!」

向けた先にはなんと大量の死体があった。数は十人ぐらいある。全員彼と同じ青の目をしてて、白の肌にみんな吸われた痕があった。しかも彼と同じ白衣を着ていた。

「おやおや、また可愛いお客さんだ……」

ズン

後ろから悪寒の風が来る。それに体が重い。なんだろう……これが死相にも出そうな感覚は。佐藤は恐る恐るゆっくりと後ろを向いた。

「ひぃ!!!」

と見た目の恐れ驚き腰が抜けてしまった。目の前にいたのは巨大な化け物だった。三つの青色の目をしてて、通常の人の数倍はある手足があってまるで薄気味が悪い化け物だ。

「あ……あぁ……」

「だめだよ〜。好奇心で来ちゃ。頭、おかしい。」

と白い手をくるくると回す。そして、佐藤は知ってたのだ。あの男性の死体とここの人達はみんな、こいつのであると。つまり、あの男性は誰かの助けを呼びこっそり逃げたらしいのだ。すべてはこの化け物の仕業であると佐藤はあの血痕を追う途中で分かったのだ。

「あ〜あ、せっかく良い巣が見つかったのに……ま、でも、いっか。消せばいいだけの話だし。君、ぎっくり腰をしてるみたいし 」

と化け物の右手が変わり注射器の針に変わった。化け物は少しずつ後ずさる佐藤にどんどんと近づいていく。佐藤は急ぎでぎっくり腰をした身体を後ずさる。急速に近づいていく化け物を見て、彼は悟った。これは俺の不注意であると。だんだんと近づいていき、ついには針を佐藤を刺そうとしてる。佐藤とは死の覚悟を決め、ぎゅうと目を瞑った。


その時だった。

バァァン!

唐突の銃声、佐藤は目を開いた。首に目を向けるとあの化け物の針が刺される寸前であった。そして、化け物に目を移すと化け物の右足が銃に撃たられたあとがあった。すると

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあぁあぁぁ!!」

と人ならぬ声を叫んだ。目の前だったあまりにもうるさく佐藤は耳を塞いだ。するとその化け物の叫び声の中には

「ひゅー、こりゃでけぇ……」

と嘲笑う女性の声が聞こえた。佐藤が振り返ったら黒デニムズボンに着ていて、白のシャツに紺のカーディガンを羽織った深緑の髪の女性が先が長い銃二丁を両手で持ってた。女性は佐藤を横目に見ながら、化け物に移した。

「はぁ……、折角、長旅を終わってこっちに来たのによ……ここでも、討伐かよ……もぅ、ホントにめんど!!」

と使い捨てだったのか女性、撃った銃を捨てた。すると使い捨てた銃がコンクリートにのめり込んだ。

「ええ!」

佐藤は思わず、銃があった方に四つん這いで向かったが、触っても銃がのめり込んだ形跡がない。

「なんで……」

「あー、さすがに驚くよな、

といつの間にかまた両手に銃を持っている女性が佐藤の方に振り返った。そして、女性は笑顔で

「ま、気にしねぇでくれ」

と言い、化け物に向かった。右手の痛みを抑えていた化け物は女性の突進気づいては焦って、すぐに急いで逃げようとしたが

「逃がすか馬鹿野郎!」

と女性は大声で怒鳴りながら慣れてるかのように飛んだ。そして、両手に持っている銃が変形され、警察が持っている銃とほぼ同じの銃に変えた。

「え……」

「……ぃ」

顔が青くなる化け物を容赦なく女性は銃を撃ちまくった。

バン バンバン……!!!

「あ゛あ゛あ゛ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」

と目に命中したのか化け物は今度は目を抑えた。よく見ると、目から血が流れていた。

「よっと」

と女性は華麗に着地をし、銃の残弾を確認した。……す、すごい。佐藤は圧巻した。あの強敵そうな化け物をここまで弱らせることが出来るとは……

「まぁ、こんなもんか」

と残弾を確認した後に冷めた目で化け物を見つめた。化け物はまるで目の前にいる化け物を見ているかのような目であった。そして泣き言で

「ゆ、ゆる……許してくれ……」

と震えた手で女性に手を伸ばした。だが、女性その誘いを断るかの様子で首を横に振り、元に戻った銃を化け物に向けて

「悪いけど、これは仕事でね」

バァァン!

と銃声が響き渡った。化け物は弱点にぶつかったか棒のように倒れしばらく動けなかった。

「……っ。………」

佐藤は立ち上がりしばらく動けなくなかった化け物を見つめた。すると

「佐藤!」

「!先輩!」

と後から追いかけてきた先輩刑事と田中が来た。先輩刑事は佐藤を頭を叩き

「バカ!何、道草食ってんだ!」

「あ、す、すいません……」

「それにしても、グロ……それにくっさ!」

と田中が鼻を抑えた。本当に強烈な匂いだ。

「向こうに十人ぐらいの死体があった。回収とこいつの回収よろ」

と今まで化け物近くでしゃがんでた女性が立ち上がり歩きながら田中の肩をポンと叩いた。田中は、はぁーとため息をついて

「これ大変なんですよ。この化け物したいを運ぶのに大型のトラックを呼ぶのにどれだけ時間かかるか」

「仕方なかったんだよ。たとえ小さいだろう大きいだろうが一緒だろ?」

「人の心なんてないあんたに聞かなきゃ良かった!」

「ハッハッハッハ!こいつは大変だ田中。こりゃ書類書くの楽になるわ!」

「あんたの楽話も聞いてないわ!」

大声で笑う先輩刑事に田中はつっこむ。その冗談絡みな光景を見てて佐藤は唖然した。通常ならば化け物を殺した女性を職務質問するはずなのに……佐藤は先輩刑事に近寄りこう質問した。

「あの、先輩…」

「おう。どうした?」

「なんで、そんな……でしょうか?」

「え?」

「あ、えっと……化け物を殺したのに……なんて言えばいいのだろう……こんな感じに笑い合うのって、いけない気がして……」

「ああ……もしかして、あの女のことか?」

と先輩刑事は化け物を殺した女性を指した。

「あ、はい!」

そう、佐藤はあの女性の事を質問したのだ。化け物を殺したのにあの様子なのが違和感を感じて質問をしたのだ。

「んー………」

と先輩刑事は顎をかくと田中がきょとんとした顔で言った。

「あれ?もしかして、言ってないんですか。

「んー……うわぁぁ、忘れてた!」

と頭を叩く先輩刑事。まるで言い忘れてたかようであった。

「お前は知らなかったか……

「え」

「まぁ、これ企業秘密ですけどね」

「こいつはあんた見てた化け物らを倒す役目があるんだ。つまり、こいつも警察みたいなもんだ」

「警察……私服警察みたいな感じですか」

「んー……まぁ、そんなもんかな……」

と先輩は彼女に視線を移した。それを彼女は気づき佐藤の方にに近づいた。

「そういえば、名前言ってなかったよね」

「え、あ……はい。佐藤と申します」

「へぇ……佐藤さんか……」

彼女は手を胸に当ててハッキリと言った。

「紹介が遅れた。私は矢凪やなぎ蓮佳れんかだ」

「い、異世界人!?」

と佐藤はまるでかのような顔で言った。そう、彼女は異世界人である。ここの世界の人間では、ないのだ。これが今の彼女の世界。

そして、これが彼女の日常である。

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