爆弾。

 一方、落ち込んだ様子のプラグは、突然巨大な魔法陣を作り出した。彼は、青い、青い光を放ったがもう隠さなかった。

「プラグ……あんた、何をするつもり」

「巨大な爆弾をつくる、あんたと俺事爆発させる」

「血迷ったか!!」

「この爆弾はもう一つある、いつでも使える、だが念のため、ここでもう一つ爆弾を使う!!!」

「くそが!!」

 アイリーンはとびあがった。

「あんたと心中なんて御免よ、私は復讐を果たさなければいけない、我が子の命をうばったマルグリッド、あいつへの復讐を、その復讐心は海より深い、ヴァルシュヴァル卿を説得し、彼女をこの日に葬ると決めたのは私なんだからね!」


 ヴァルシュヴァル卿は、プラグとマルグリッドをみつけた。霧がこくなっており、ヴァルシュヴァル卿でも迷っていたようだ。屋根上から見下ろしており、ヴァルシュヴァル卿のすぐそばに、忍者のように、ふっと、人物の影が現れた。簡素な鎧を着た従者のようだった。

「ヴァルシュヴァル卿、衛兵を呼ぶ用意が整いました」

「ふむ……よいだろう、今宵、必ずあの“青の夜鳥”を仕留める、それがヌーヴァル帝との約束事だからな」

「ハッ!」

 短く返事をすると、鎧の人物はふっと、その場から消えた。


 ふと、マルグリッドは、上空から殺気を感じてそれをよけた。自分のいた場所その直ぐ傍に、サーベルが地面に突き刺さった。

「!!」

 上空を見上げる、ヴァルシュヴァル卿が、自分を見下ろしていた。

「さて、余興といこう……私と、私の中の“彼女”,アイリーンがこの場をどれほど待ち望んでいたか……さあ、そのサーベルを抜き、どちらかがどちらかの命を奪え!もし勝ったなら、青の夜鳥、私はお前のこれまでの罪を許そう」

 息をつくより早く、マルグリッドはサーベルに手を伸ばした。クランも同時に手を伸ばした。だがクランのほうが近く、それを手にした。

「すみませんね、マルグリッド……可能性があるなら、私はそれにかけなければ」

「可能性?」

「未来が変わる可能性ですよ……ヌーヴァル帝の筋書きが」

「??」

 クランの手に取られたサーベルは、マルグリッドの急所をねらい放たれた。頭部、胸部、首、足……だがそれはどれも外れた。ふと、マルグリッドはそのすべてをよけて、クランの耳元でつぶやいた。

「うまく逃げて…………」

 しかしクランはそれに答えた。

「ヴァルシュヴァル卿は見逃してくれません……あの殺気……私たちが戦わなければ、戦いをやめたほうが彼に殺されるだけです!!」

 

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