夜襲 ユルム
次の日の夜。マルグリッドは皆が寝静まったのを確認して、子供たちの部屋の電気をけした。しかし、プラグのベッドの中にはほかの子供たちからあつめたプラグはおらず代わりのオートマタの人形がしきつめられており、簡単な細工だったが頭まで布団をかぶっていて、マルグリッドはそのことに気づかなかった。
スーッと、音もたてずに孤児院を後にし、寝間着のまま教会を通りすぎ、あくびをしながら、修道院にたどり着くマルグリッド、ふと突然後ろを振り向いたので、プラグは身を隠した。
「だれ?」
数分、そのまま後ろをみていたが、ちょうどどこかで猫の鳴き声がして、運よくマルグリッドはそれに納得した。
「なんだ猫か」
そういってパタン、と修道院のドアを閉めた。プラグは、マルグリッドの行動を前日に把握していた、このあと必ず、洗面所にいき、そのあと玄関の扉をしめる。プラグは洗面所が一番奥の左の部屋、そしてまずシャワー室がありその奥にある事をしっていたのでその間にぬきあし、さしあしで、修道院のドアを開いて中に入り込んだ。そして、もっとも身を隠せそうな一番手前左の部屋、物置へと入る。ここで、マルグリッドが修道院の鍵を内側からしめるのを待った。
何度か物音を変だと思ったマルグリッドだったが、それでも彼女の視線をかいくぐり、マルグリッドが静かに寝息をたてるころ、プラグはマルグリッドの隣の部屋へと急いだ。通りかかったころ、マルグリッドの寝言が聞こえた。
「ユルム……」
聞いたことがある。マルグリッドの義姉妹であり、その話をきいたのは、出会って間もないころの事だった。それ以来深く教えてもらうこともなかったが、寝言に話すということはよほど重要な人なのだろう。
その後は順調に進む、廊下の突き当りフクロウが窓辺からこちらを見ていたが、木にも留めずに、アイリーンの部屋は静かに整理されていたが、プラグはあちこちを静かに漁り、そして見逃さなかった。
《カタン》
奇妙な物音のする床下。すぐに収納を引き出すと、月明りにてそれを確認した。いくつか同じ人形があったがそのひとつ“マルグリッドの人形”だ、どこからどうみても、そうだった。
やがて証拠を手に取り、修道院を出る、その途中で人影をみた。
(ペペロ?)
ペペロは誰かを追いかけるように、物陰に隠れながら、やがて裏口から教会を出ていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます